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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

昨日もよく眠れた方だった。リラックス体操のおかげかもしれない。睡眠障害は回復の傾向にある。21:00の就寝後0:00に目が覚めて、そのときは寝付けなかったので0:30に追加眠剤をもらう。その後は3:30までぐっすりである。追加眠剤が3時間もった。その後もう一度寝ると4:00に目が覚め、そして10分おきに目が覚めるモードに入ったので起きてきた。

喫煙所では、最近いろいろと制限が厳しくなったことについてみんなで愚痴をたれる。たとえば、喫煙所のテーブルにはいろいろモノを置きっぱなしにしてることが多いが、それが全部ダメになった。私も自分の肩たたきを、みんなが使えるようにわざと置きっぱなしにしていたのに、いつの間にか見あたらない。どうも置きっぱなしにしているものは、片っ端から看護婦が回収して預かっているらしい。しかし、「喫煙所のテーブルにものを置きっぱなしにしないでください」と言う連絡は一度もなく、「テーブルにあったものは看護婦が預かっています」と言う連絡も一度もない。みんな「ここに置いてあったんだけど、ないない」と探し回って、ようやく看護婦が持っていったことを知る。なんなんだ、ここの看護婦は。

それから、看護婦によって「いい」と言ったり「悪い」と言ったり、言うことが違う。Tさんが梨を切ろうとして、看護婦に許可をもらってから、包丁とまな板を借りて切っていたら、別の看護婦が飛んできていきなり怒られたそうである。せめて「それは誰かに許可を得ました?」とまず聞いてくれたりすればいいのに、なんでそう頭ごなしに怒るんだろう。看護婦によって言うことが違うのは、前にも書いたが、経験などによって目のつむりどころがわからなかったり違ったりするのだろうが、「看護婦全員で統一してください」と言うと、どうせ厳しい方向で統一されるのは目に見えている。一番確実なのは婦長に直接許可をもらうことで、他の看護婦に何か言われても「婦長の許可を得ましたので」と言うと、その看護婦は何も言えない。だが、婦長は忙しくていつも病棟にいるとは限らない。

法律を含め、私はどんな規則でも「原則として」というのが頭につくと思っている。つまり裏を返せばどんな規則でも例外はあるということだ。例外をどこまで認めるか、それは看護婦によって違う。看護婦の間で「今日はこういうことを見逃しちゃいました」「それくらいならみんな大目にみましょう」という会話や議論はされているのであろうか。おそらくないだろう。みんな自分の経験と勘でやっている。その辺の感覚を統一するのは、職人の技を工業化するように難しい。それにしても、ここの看護婦は怒りんぼが多い。私は別の病気で過去2回入院したけど、看護婦さんは基本的に優しい人ばかりだった。それはたまたまだったのだろうか。

今朝も散歩に行こうとしたら、玄関を開けると土砂降り。土砂が降ってきて痛い痛い。ではなくて雨がかなり強く降っている。中にいるときはぜんぜん気がつかなかった。グランドには行けないので、作業棟の玄関の前の屋根の下で、みんなでおしゃべりしたり私がオカリナを吹いたりした。Tさんが、また息子から手紙が来たから、後で読んでみて、と言う。毎日手紙を書いて出すと、少年院から早く出られるらしい。ひらがなしか書けないが、丁寧な字で一生懸命書いているという。息子さんは勉強ができなかったけど、何か自分のやりたいことをやらせたい、とTさんは思い「何がやりたい?」と言うと、ドラムがやりたいというので、しばらくドラムをやっていたそうだ。それが、中学生の終わりの頃からバイクがやりたくなって、免許を取るとドラムはやめてバイクに走ったそうだ。それが、どこかで方向が狂ったのか、今ではこの地域一帯の暴走族のヘッドになっているらしい。「今つかまってよかったよ」Tさんは言う。暴走族は問題があるが、そのヘッドになれるということは、統率力もあって、みんなから信頼される人柄の持ち主なのであろう。少年院を出たら、いい方向に進んでその良さを発揮してもらいたいものだ。サラリーマン金太郎を思い出す。

今日は午前中は昨日紹介された皮膚科に行く。金曜日なので、本当なら作業療法でエアロバイクを漕ぐところなのだが、今日はできないので残念。これから皮膚科に行くときは、作業療法や入浴、体育館レクなどの予定が入ってない曜日と時間を狙って行くことにしよう。まだ土砂降りが続いているが、3段式のしょぼい折り畳み傘しか持ってないので、病棟の置き傘を借りていく。

バスに乗ってふと思った。借りてきたこの何の特徴もない黒い傘、皮膚科に入って傘立てに立てたとして、帰りにどれだったか思い出せるだろうか。何か目印をつけておこう。そう思ってデイパックの中をごそごそ探したところ、この前に家電量販店で買い物したときの袋に、店の名前の入ったテープがくっついていたので、それをはがして傘の柄に貼りつける。利用できるものは何でも利用しなきゃネ。

皮膚科は駅からすぐのところだが、入ってみると予想通り混んでいる。「平気で2、3時間待たされるよ」同じ皮膚科に通院経験のあるOさんが昨日言っていた。今朝、この皮膚科に行くことをKさんに話したら「あ、俺も行くよ。俺8時から行っていいって許可もらってるから早く行くけどね」なんと、本当は外出許可時間は9時からなのだが、こういう場合はちゃんと融通はきくようだ。私もこれからそうさせてもらおう。

それにしても、子供と老人が多い。私が普段通院している皮膚科もそうなのだが、皮膚科とはそういうものなのだろうか。子供のアトピーが増えていると聞くから子供が多いのはわかるが、老人が多いのはなぜだろう。歳を取るとともに免疫力が衰えて、やはり皮膚に何らかの症状が出るのであろうか。どの受診科に行ってもやはり圧倒的に多いのは老人なのか。それはおいといて、とりあえずこの日記を書くのは名前を呼ばれるまでの暇つぶしにうってつけだ。

お、30分くらいで名前を呼ばれたぞ。どうやら紹介状があると優先的にまわしてもらえるようだ。ま、最初の一回だけだろう。自分はアトピー歴が長いので、普段自分の使っている薬があれば自分でコントロールできる、と話し、薬の種類を言って処方してもらう。診察は全くなしですんだ。

思ったより早く終わったので、帰棟予定時刻まではけっこう時間が空いた。Pocket Excelで作った時刻表でバスの時間を確認し、駅の下のスーパーで買い物をしていく。ふりかけは忘れずに。スーパーの中に小さなラーメン屋があって、ラーメン食いたいと思ったが昼食前なので、入って餃子だけ注文する。餃子食って帰ってたら一発でばれるかなぁ。「にんにく依存症患者」が入院していたら、中に入れてもらえないかもしれない。今日は人混みで買い物をしてもあまりストレスを感じない。少し慣れてきたからなのか、田舎の駅前で、午前中で人がまだそんなに多くないからなのか。

病棟に戻った。買ってきたものなどを整理しているうちに、ちょうど昼食の時間になった。食事中に、何だか少し疲れを感じてきた。じんましんが出たときもそうだったが、どうも疲れが後から出てくるようだ。やはり自分では気がつかないうちに神経を使っていたのか。知らず知らず緊張していたのか。その緊張が解けたとき、溜まっているものが一気に出てくるようだ。午後の予定は入浴だけだ。ゆっくり神経を休めよう。ベッドに横たわって眼を閉じる。BGMは先日送ってもらったCDから、トライトーンの「A Cappella J-Pop Christmas」。J-POPのクリスマスソングを集めてアカペラにアレンジしたアルバムで、超お気に入りのCDの一つ。季節外れではあるが、とても優しく心に語りかけてくるような音楽で、聴いているととても心が安らぐ。

風呂に入って、体中をよく見るとアトピーがかなりひどくなっている。じんましんは治まったものの、完全に治りきらずにアトピーとして残ったような感じだが、そういうことってあるのだろうか。まあ、アトピーも悪くなるときは一気に悪くなるし、強烈なストレスのために、じんましんが出ると同時にアトピーが一気に復活したのかもしれない。脱衣所にいた看護婦と看護士が見てびっくりしていた。

アトピー患者は本当は毎日風呂に入らなければならない。清潔を保つのがまず第一なのだ。それがスキンケアの基本である。放っておくと、炎症部分に黄色ブドウ球菌が繁殖して、ますます悪くなってしまう。それは石鹸で軽くこすると落ちるのだが、ここでは毎日風呂に入れるわけではない。風呂に入れない日は、しかたがなくタオルで体を拭いていた。だが、タオルでごしごし体を拭くのも本当はよくない。それ自体が刺激になるからだ。アトピーは「掻いてはいけない」のが原則なのだが、タオルでこするのは掻いてるのと同じことなのだ。シャワーさえ浴びさせてくれれば、石鹸で体を洗うことはできる。入浴日以外に特別にシャワーを浴びさせてもらえないか、だめもとで看護婦さんにお願いしてみた。アトピーは外見上、非常に目立ち「いかにもつらそう」というイメージがあるらしいし、看護婦さんも私の四肢を見てるので、うまくいけば認めてもらえるかもしれない。

とりあえず、風呂からあがって、強めのステロイド剤を塗りまくる。ステロイド剤は使い方が難しい。強すぎても弱すぎてもよくないが、私は炎症を起こしている部分には3種類の強さのステロイド剤を症状によって塗り分け、ときには弱いステロイド剤と保湿剤を混ぜ、自分で調合して塗ったりしてる。炎症を起こしていない箇所は保湿剤で角質層を保護する。顔と首は体と比べて吸収力が圧倒的に高いので、非ステロイド系の免疫抑制剤と抗炎症剤で対処する。この前じんましんが出たときは、本来ならばレベル5のステロイド剤で一気に抑え、症状が治まればさっと抜く、というやり方をしないといけなかったのだが、その軟膏がきれていて、レベル3のステロイド剤を使ったので、治まるのが遅くなってしまった。本当は弱いステロイド剤をだらだら塗るのが一番いけない。なかなか良くならない上に、副作用を引き起こす可能性も高くなり、そのうち強いステロイド剤も利かなくなってくる。そうするとリバウンドする可能性も高くなる。

夕食まで時間があったので、「リラックス体操」をまじめにやってみることにした。昨日はちょっとだけかじった程度で、あんまり真剣にやってなかった。まじめにやってみると、なかなか難しい。「意識を体の一部分に集中する」ということが、なかなかできないのである。気がつくとこの日記のネタなんかを考えていて、意識がそれてしまっている。ちゃんと意識を集中させ、雑念を払っていくと、だんだん瞑想状態になっていくそうだ。それがヨガの本来の目的であるのだが。最後の「屍のポーズ」では自律訓練法を行う。自律訓練方も自己催眠の一種なので、途中で中断されるようなことがあってはならない。四肢の重みを感じ、四肢のぬくもりを感じ、おなかのぬくもりを感じ、心臓の鼓動を感じ、自分の呼吸を感じ、額の涼しさを感じとる。そして、ゆっくりと5つ数えながら覚醒させていき、少しずつ体を動かしていく。一気に動かしてはいけない。少しずつ覚醒させていくのだ。全部やると30分以上かかった。

夕食時、看護婦から「毎日シャワーOK」の許可が出たと告げられた。よかった、これでつらい思いをせずに済む。うつ病で入院してアトピーがひどくなったら元も子もない。ただし、時間は入浴日以外は15:00と指定された。まあ、その時間ならだいたい病棟にいるから大丈夫だろう。気がつくと真っ赤になっていた腕がかなりきれいになっている。やはりレベル5のステロイド「マイザー」の威力はすごい。これでしばらく安定状態を保てるだろう。後はこまかい炎症をレベル4の「リドメックス」、レベル3の「リンデロンVG」でコントロールして抑えていけば落ち着くだろう。数日でステロイドは不要になるはずだ。

夕食後は連絡会までCDを聴いて時間をつぶす。今のBGMは、今は活動してないアメリカのアカペラグループ「Vox One」の「Vox One」というそのままのタイトルのCD。「エーデルワイス」や「アメイジンググレイス」などのメジャーな曲が、かっちょいいジャズアレンジで繰り広げられる。メンバーの一人は松岡由美子という日本人で、最近は彼女を講師に呼んでジャズアカペラの講習会も行われている。その次のBGMは「acapella」というそのまんまの名前の、やはりアメリカのアカペラグループのCD「Hymns」。彼らは新しいゴスペルの世界を築いたのではないか、と私は思っている。巷で最近はやっているゴスペルっぽくなく、どちらかというとコンテンポラリー系のアカペラっぽいアレンジながら、歌詞の内容は完璧にゴスペルだ。ゴスペルはキリスト教の教えに基づいた歌詞を歌にした音楽であると、いったいどれくらいの人が理解しているだろうか。ミサ曲、モテット、アンセムの次に来るのがゴスペルだと私は感じている。

連絡会が終わって19:00近く、夕食が17:00で量も多くないので、みんな小腹がすいてくるのか、お菓子をひろげたりカップラーメンを食ったりしている人が多い。「かっぱえびせん胡椒味」をKさんがわけてくれた。うん、なかなかいける。「これでご飯3杯はいけますね」というと、Kおばあさんが「ま~さっきご飯食べたところなのに、若い人の食欲はすごいね~」と全く冗談を理解していない。このおばあさん、とてもおもしろくて、さっきも「私の入れ歯がない、入れ歯がない、誰か取ったでしょう」と騒いでいた。他にも、いつも「看護婦さん、看護婦さん、助けてください、助けてください」とずっと言い続けている車椅子のおばあさんもいる。入院当初、私はびっくりしたが、別に何もないのにそう言ってるだけなので、今は看護婦も含めてみんな無視している。ところが、今日は「看護婦さん、看護婦さん、これから私はどうなってしまうんでしょう」と新しいパターンで来たので、思わずみんな吹き出してしまった。S君がカップ焼きそばを作っている。「かやくは下から入れるといいんだよ」と言ってるが、他にも同じことを言っているやつがいたような気がする。結構これって常識?私が「うん、座薬も下から入れるんだよね」と言うと、Mちゃんに「退場!」と言われてすごすご病室に戻ってきた。

いい大人が集まって、テレビで「ドラえもん」を観ている。「最近大人にも人気があるんだよ」とTさんは言うが、私はあまり「ドラえもん」は好きじゃない。「夢がある」と言うが、「ドラえも~ん、なんとかしてよ~」とすがるのび太に、ドラえもんが何の努力もせずに楽ちんできる便利な道具を安易に出すのが気に食わないのだ。もっとも、結末はだいたいのび太が道具に頼りすぎて失敗する、というストーリーになっているので、一種の教訓ではあるのだろうが。「私はまじかるタルる~との方が好きだなあ」と言うと、「マニアックですね」と言われた。そうかなあ、元々「タルる~と」は、ドラえもんのアンチテーゼとして最初から企画された漫画で、え~と、主人公の男の子の名前を忘れたが、彼が何か困ったとき、タルる~とが出すのは、彼を「特訓」するアイテムだ。そして特訓を重ねた結果、相手に勝つ。まあ、少年ジャンプだからな。私の性にはあってる。ところで私の顔は「少年ジャンプ系」と言われたことがある。何のこっちゃ?

とかやってるうちに20:00になった。いつも通り就寝の準備をする。今日も比較的安定して、睡眠障害も改善しつつある。今夜もよく眠れることを祈りつつ、今日の日記はおしまいにしよう。


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