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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

日別アーカイブ:2001年8月21日

昨日、かなり大きな鬱が入ったため、眠れるか心配だったが、案の定睡眠障害はひどくなった。21:00の消灯後、いったんは寝たが23:00頃だろうか?目が覚め、その時はそのまま眠れたが、0:00頃目が覚め、眠れなくなったので0:30頃追加眠剤をもらって飲んだ。それでいったんは眠ったものの、2:30にまた目が覚め、かなり目がさえていて眠れそうになかったので、2回目の眠剤をもらった。喫煙所で一服しようとすると、何人か先客がいる。昨日他の看護婦と一緒に騒いでいた看護士さんががいて「昨日はご迷惑をおかけしました」と謝ってくれた。「あの後すごい鬱が来たんですよ」そう言うと「あれでパワーを使い果たしてしまったのかもしれませんね」と看護士は言った。

2回目の眠剤は効かなかった。眠気は来ず、じっと横になって夜が明けるのを待つ。この時間帯が一番つらい。普段は気にならない他の人のいびきが気になる。私の部屋はいびきがすごいのだ。4:00頃、ホールに行って煙草を吸いながらぼ~っとする。やたら口が渇く。多分、薬の副作用だろう。他にも薬の副作用で、ろれつがまわらなくなったり、手が震えたりする人もいる。

5:00になった。ポットが準備されたので、コーヒーを入れる準備をしてお湯が沸くのを待つ。昨日買ったビン入りのコーヒーフレッシュを開けたら、栓抜きでないと開けられないキャップがついていた。看護士にお願いして栓抜きを借り、無事コーヒーを飲む。朝一番の一杯はうまい。

夜が明けるまでTさんやS君と話をしていた。二人とも昨日は落ちていたらしい。Tさんはまたリスカをやってしまったそうだ。今度はヘアピンで。「それも取り上げられちゃった」寂しそうな目で彼女はつぶやく。S君は同居しているお兄さんが、病気のことを全く理解してくれていなく、電話で「早く退院して働け」と言われてから落ちたらしい。理解のない人と一緒に暮らすのでは絶対によくならない。「退院しても、兄とは一緒に住みたくない」S君は言うが、私もその方がいいと思う。

ずっと頭はぼんやりしているのに、こういう日記は書けるというのは不思議なものだ。頭の中に浮かんだことが、勝手に指が動いて文字になる。ネット族の習性というものなのか。

ストレッチも今日は全くやる気が起こらない。ラジオ体操をのろのろやる。

朝食はほとんど食べられなかった。昨日の夕食もほとんど食べてないのに、ぜんぜん空腹感がない。何を食べても味がしない。

調子が悪い。ベッドに横になってヒーリングのCDを聴きながら休む。目を閉じていると、何も見えてないはずの視界の右端からいきなりYさんが現れて手を伸ばしてきた。びっくりして目を開ける。いつもと何も変わりのない病室が見える。あれは幻覚だったのか。調子が悪い。またじっと横になる。

少し調子があがってきたので、暖かいコーヒーを入れ、喫煙所に行く。コーヒーを飲みながら話をしていると、しだいに調子が戻ってきた。そのうちに作業療法の時間が迫ってきたので準備をする。バンダナを頭に巻き、タオルを用意し、昨日買った粉末のVAAMをペットボトルに溶かす。畳で入念にストレッチを行い、作業棟へ。

とりあえずエアロバイクにまたがって「体力測定」コースで漕ぐ。なんだか表示されている心拍数が低いような気がする。漕ぎながら作業療法士にそう言うと、「そのマシンだけセンサーがなんかおかしいようなんですよ。奥にあるマシンなら新しいので、そっちの方がいいかもしれません」とのこと。やり始めてしまったものはしかたがない。そのマシンで体力測定を行った結果、「10段階中の10。非常に優れている」おいおい、そんなはずはないだろ。今までどれだけトレーニングをさぼっていたと思ってるんだ。やはりこのマシンはおかしいらしい。20分ほど休んでから、奥にある新しいマシンでもう一度試してみることにする。お、私が通っていたジムにあったのと同じ機種だ。これなら以前と比較しやすい。さっそく体力測定コースで漕ぐ。結果はなんと「6段階中の1。非常に劣る」がーん、なんじゃそりゃあ。そこまで体力は落ちてるのか?やはりさっき漕いだばかりなので息があがってるのか、本当にそこまで落ちてるのか。プリントアウトされた結果を見ると、評価値72W。むむ、今から一年くらい前は150Wだったのに。

この作業棟、昨日は気がつかなかったが、他にもいろいろなものがある。マッサージチェアもあれば、ギターもある。体脂肪計もあるのでこれから最初に測定しよう。そうそう、カルテを作るんだった。すっかり忘れていた。病棟に戻ってきて、ハンドヘルドPCに付属のPocket Excelでさっそくカルテを作り、今日の分を記入する。

昨日は調子が悪かったことだし、今日はこれくらいで終わりにする。無理は禁物だ。病棟に戻ると看護婦さんに呼びとめられた。今日の早朝に、昨日アトピーが少しひどくなったという話を看護士に話しておいたら、婦人科の先生が皮膚科もみてくれるというので、話をしておいてもらうことになっていたのだが、今まで皮膚科に通院していたのであれば、できればそちらに行ってほしいということだ。まあ、今日になっておさまったし、外出か外泊のついでにでも行くことにしよう。

部屋に戻ると、先週Kさんが退院して空になっていたベッドに新しい患者さんが入ってきている。挨拶してからの彼の最初の言葉が「私、いびきかくんです。すみません」おいおい、最初の一言がそれかよ。と言うことは、相当すごいいびきなのだろうか。やだなあ、ただでさえ睡眠障害なのに、これで眠れなかったら入院している意味が全くない。とりあえず今夜はどんな感じか様子見だ。もしひどいようだったら、耳栓でも用意しよう。外出すると疲れるし、しばらくはあまり外に出たくないので、誰かに宅配便ででも送ってもらうことにしようかな。

この新しく入ったNさん、周りに寝ている人がいるというのにでかい声でしゃべりかけてくる。単にそういう性格なのか。前にいたKさんがすごくおとなしい人だったし、病室の他の人もおとなしい人ばかりなので、ちょっとこれから先が心配だ。

ホールに行くと、何かビデオを見ているようだ。少年が更正していくドラマらしい。私も今度何かビデオを持って行こうかな。いっこく堂が好きで、ライブのDVDを4本持っていると以前Eさんに話したら、見たいと言ってたので今度ダビングして持ってこよう。もうすぐ昼食の時間だ。昨日の夕食も今朝の朝食もほとんど食べられなかったが、ようやく食欲が出てきた。

Nさんは閉鎖病棟から移ってきたらしい。話を聞いていると、やはり閉鎖の方が制限がはるかに厳しい。所持品はすべてチェックされ、危ないものはすべて取り上げられる。ライターを持ってないので貸して、と私に言ったくらいだ。こちらはそこまではやらない。自己申告か、何かやらかしたときに取り上げられる。私は最初に「携帯電話は持ってますか?」と聞かれたときに、正直に「はい」と答えてしまったために取り上げられてしまったが、隠れて使っている人はたくさんいる。こちらでは入浴は週3回だが、閉鎖病棟では2回らしい。これはなぜなんだろうか。病棟外に出るのも制限されている。うちは開放病棟だから、一時間以内なら病院の敷地内のどこにでも一人で行っていい。だが閉鎖病棟では、外に出られるのは週2回、30分以内、2人の監視つきらしい。「でも設備はいいんですよ」とNさんは言う。「なんせ扉が二重ロックですから」そりゃ「厳重」って言うんだよ。

このNさん、ちょっとやっかいなことがわかってきた。とにかく話しかけてくるのである。さっきも注意したのに、寝ている人がいるにもかかわらず、また話しかけてくる。私も静かに本を読みたいと思って本を広げたところなのに、そんなことおかまいなしに話しかけてくる。無視するのもなんだし、答えて喋ってると寝ている人に迷惑だ。ホールに行って本を読むことにしたが、ホールはテレビがついてたり、みんながおしゃべりしていて、やっぱり集中できない。だめもとで耳栓が売ってないか売店に行ってみたら、ちゃんと売っていた。「けっこう売れるんですよ」と売店のおばちゃんは言う。他人のいびきで悩まされている人は結構いるってことだ。耳栓を試してみたが、結構具合がいい。これで安眠できるかな。

しばらくして部屋に戻てみると、Nさん自身が寝ている。ほっと一息、と思ったのも束の間。彼のいびきである。予想どおりすさまじい。さっそく耳栓の出番だ~。使用感としては、完全に聞こえなくなるってことはないが、まあ緩和されるかな。しかし低い周波数の音波が重低音のように響いてくる。

みんな今日は暇らしく、喫煙所に大勢集まって延々と話をしていた。なぜか駄菓子の話とか、昔遊んだ遊びとか、「これ知ってる?」「あ~、あったあった」という会話で盛り上がった。年代は多少幅があるものの、子供の頃の娯楽はそんなに変わらないらしい。もっとも、今の子供はどうか知らないが。

夕食後も喫煙所でおしゃべりの続き。薬の副作用でろれつの回らなくなったKさんが必死に早口言葉の訓練をしている。「ブスバスガイドバスガス爆発」けっこうみんな言えてない。「看護婦さんて参勤交代なんだっけ」S君がおおぼけをかます。それを言うなら「三交代」だよ。江戸時代の大名行列じゃねーんだから。たわいのないお喋りは続き、夜は更けていく。

20:00 眠剤を飲んで就寝準備。今日入ったNさんと新兵器の耳栓、どちらが勝つだろうか。