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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

日別アーカイブ:2001年8月23日

昨日もよく眠れた。昨日とほぼ同じパターン。0:00頃目が覚めたが、眠れそうなのでもう一度寝る。2:00頃また目が覚めて、今度は眠れなかったので、2:30に追加眠剤をもらって飲み、そのまま 5:00まで熟睡。鬱が入らなかった日はかなりちゃんと眠れるようになってきた。

そういえば、昨日の就寝前に、朝たばこをあげた女性が私の部屋の前で、私に向かって「すみません」と声をかけている。「どうしたんですか?」と尋ねると、「たばこ一本くれませんか」と言う。看護婦は「関わり合いになるな」というようなことを言っていたが、私にはそうはできない。「いいっすよ」一本渡して「ライターはありますか?」と聞くと「大丈夫です」そう言って行ってしまった。朝は「煙草忘れちゃった」と一人でつぶやいただけだったが、今回は確実に私に話しかけてきた。他の人と話すことはまずないのに。心を開いてくれるのは嬉しいし、彼女の病気がそれで少しでもよくなるならいいのだが、かえって悪化したり、看護婦の言う「巻き込まれる」事態になってしまうとどうしようかと思う。 

朝の服薬。毎回服薬時は、みんなコップを持って一列に並び、「○○です」と自分の名前を言って薬を受け取る。私の番になったとき、たまには看護婦にもぼけてみようと思って「三波春夫でございます」と言うと、寒い顔をしていた。次は別の看護婦のときにリベンジしてみよう。

朝食後、台風が過ぎ去ってようやく晴れたので、洗濯をする。洗濯機がまわっている間に散歩に行って、いつもの丘でオカリナを吹く。が、照りつける太陽と無風状態に数分で汗びっしょりになり、早々に引き上げる。

たばこを吸ったりこれを書いているうちに、洗濯が終わったようだ。さっそく中庭に干しに行く。今日はいい天気だ。よく乾くことだろう。下の病棟の若者が3人上半身裸でひなたぼっこしている。もちろんみんな男である。ところで昔から「ひなたぼっこ」「ぼっこ」って何だろう?というのが私の3大疑問のうちの一つであるが、いまだにわからない。若者の一人はこの間オカリナに拍手を送ってくれた彼だ。「今日は洗濯機が順番待ちなんですよ」と言っているが、それはこっちも同じで、私が「洗濯終わったかな?」と思って見に行ってみたときには、私の洗濯物はかごに出されて次の人のが回っていた。洗濯物を干していると、靴下が片方ない。どうして靴下は片方ずつなくなるのか。その答えは、両方なくなったら、なくなったこと自体に気がつかないからである。私は会社に入社した頃、スーツ用のいわゆる「サラリーマン靴下」を大量に全部同じ製品でそろえた。これなら片方破れたりなくなったりしても、残りで使い回せるからである。

午前中は体育館レク。今日は前半はドッジボール、後半はバドミントン。休憩中に飲む一杯の冷たいお茶が気持ちいい。体育館の床に大の字に寝そべり、目を閉じ、ドイツの精神科医シュルツが考案した「自律訓練法」を行って神経を休める。無理をしない程度に、ちょっとやっては疲れたら休み、また少しやっては疲れたら休む。仕事もそういうペースでやらせてくれればいいのに。

うちの病棟に、福祉系の大学からケースワーカーの実習生が来ている。今日と明日いるそうだ。むむ「ぢょしだいせい」である。みんなで取り囲んで質問責め、ではないが、いろいろとお話をする。

私の隣のベッドに新しい患者が入ってきた。その向こうのベッドのKさんが「あれ、Hさんじゃないですか」と言うと「また入ることになりました」と答えた。4回目の入院らしい。歴史は繰り返す、じゃなかった歴史はぶり返す、でもない、やはりこの病気はぶり返す人が多いのか。

Hさんは自分で商売を起こして、何人かの従業員を雇って小さな商社をやっていたらしい。が、取引先とトラブルを起こし、裁判で訴えられ、今でも裁判は続いてるらしい。そのストレスから鬱になり、従業員にはみんなやめてもらって、細々と商売をしながら入退院を繰り返している、という生活らしい。生活保護を受けているが、なんとか切りつめればやっていける、という感じらしい。

今日の午後は、木曜日なので普通はレク活動なのだが、今日はなぜかなかった。みんな暇をもてあまして、結局「卓球でもしますか」ということで、卓球台をセッティングしていると、Mちゃん(今までTさんと書いていたリストカットの女の子)が「私も卓球やりたい」と言うので、軽く相手をしてあげながら教えてあげた。ほとんどやったことないのに、結構じょうずである。彼女は体力がないので、あまり長くはできなかったが、初心者は変な癖がなく、教えたことをそのまま忠実にやってくれるので、少しの時間でけっこう上達した。その後、S君と勝負したが、いつも11点ゲームの1セットマッチの短縮版でやってるのを、今回は21点ゲームの3セットマッチ、正規のルールでやった。結果は2-1で私が勝ったが、さすがに久々にフルセットを続けてやると疲れた。

私がMちゃんと相手をしているのを見て、アルコール依存症で入院中の、60歳くらいのTさんが「私にも彼女に教えてあげたように教えてください」と言ってきたので、相手をした。Mちゃんと同じく、ほとんど初心者の人で、打ちやすい球を返しながら、教えた通りに打ってもらうとどんどん上達していった。彼はアルコール依存症の影響でいつも手先がふるえているが、卓球をやっているときは全くふるえていなかった。

その後、実習生の女子大生が同じように教えてほしいというので相手をすると、彼女は「ちょっとやったことがある」らしく、ボールへの反応はいいのだが、変な癖がついていて、なかなか教えた通りにいかない。手首を変にひねる癖があるのだ。相手が打つ瞬間ごとに「まっすぐ」と声をかけていると、しだいに慣れてきていいボールが返ってくるようになったが、少しラリーが続くとすぐに元の癖が出てしまうようだ。まったくの初心者の方が教えやすい。

分裂病のSさんは、普段は精神病患者ばかりで集団生活をしている施設に暮らしているらしい。そういう施設があるとは知らなかった。入院とは違い、普通に家賃を払って普通に暮らしている。が、管理人がいろいろ面倒を見てくれたり、かかりつけのドクターが往診をしてくれることもあるらしい。普段はみんなそのドクターの病院に通院しているのだが、緊急の場合には来てくれる、ということだ。最近では普通の医者でも往診をしてくれるのは減っているのかもしれないが、そういうところもあるということをはじめて知った。

夕方、入院時にいろいろ検査した結果を教えてもらった。レントゲン、CTなどは問題なし。血液検査では中性脂肪が「かなり」高いそうだ。中性脂肪が高いのはわかっているが、「かなり」と言われるとちょっとびびった。私は見た目は割と筋肉質で、少し腹に脂肪がついてるかな、という感じなのだが、それにしては体脂肪率がかなり高い。表面についているのでなければ、中についているのだろう。脂肪肝かもしれない。幸い、肝機能には今のところ異常はないが、これから注意してください、と言われた。内臓の脂肪は一番落としにくい。せっせと有酸素運動に励むことにしよう。ここにいる限り食事は栄養のバランスのとれたものをとっているが、退院したらまた外食中心の生活になる。そのときは脂肪分をできるだけとらないように気をつけねば。

夕食後のおしゃべりで、なぜか女性陣が下ネタ話で盛り上がっている。最初は男性陣もおもしろがって聞いてたり突っ込んだりしてたのが、だんだん男性陣もついていけなくなるほどエスカレートしていった。その内容は…、とてもここには書けない。

夜、オセロをやっているO嬢が肩がこっているというのでマッサージをしてあげる。うむ、結構こっていて、つぼがぐりぐりとはっきりわかる。私自身、ものすごく首と肩がこるので、以前は鍼灸院に通って針治療を受けたり、本格的なマッサージを受けてたりした。今でもクイックマッサージによく行く。おかげで「どうやれば気持ちいい」というのがわかるようになったので、マッサージがうまくなって、人にやってあげると喜ばれる。が、自分で自分にできないのが残念だ。O嬢はオセロをやりながら「う~」「きく~」とか言って気持ち良さそうにしていたが、やっているうちにブラのホックを外してしまった。いや、もちろんわざとじゃない。わざとじゃないってば。

今夜の夜勤は卓球経験者の看護士Nさん。20:00の服薬まで時間が少し空いたので、卓球の相手をしてもらうが、ぼろ負けしてしまった。うむ、彼は手強い。

20:00になった。就寝前の眠剤を飲んで、これから寝る準備をしよう。今日隣に入ったHさんはいびきをかくのかな?一応耳栓をつけて寝ることにしよう…。