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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

昨日は何とか追加眠剤でつないで、よく眠れたほうだ。21:00就寝で、22:40頃いったん目を覚ましたが、また眠れそうなので寝た。で、いつものことだが0:30頃目が覚め、追加眠剤をもらいに行った。最近、中途覚醒したときに「今はもう一度眠れる」「これはもう眠れないだろう」というのが感覚でわかるようになった。追加眠剤を飲んでから、わりとぐっすり眠れ、2:40にまた目を覚ます。追加眠剤も効果は2時間が限度。まだ3時前なので、2回目の追加眠剤をもらって飲み、4:00過ぎまで眠る。トータルで結構よく眠れた。また調子があがってきたようだ。夢を見てない。深く眠っていた証拠だ。

5:00になった。ポットが用意されたので、コーヒーをいれて飲む。朝一番のコーヒーはうまい。本当はブラックで飲むのが好きなのだが、ブラックは、本当にちゃんと焙煎していれた、香りを楽しめるものでないと飲めない。インスタントコーヒーのブラックは飲めたもんじゃないので、砂糖とクリームをぶち込んで味をごまかす。横ではMちゃんが中年女性のKさんとひそひそ話。どうも性の相談をしているようなのだが、こちらはなにげないふりをしつつ、どうも左耳がダンボになってしまう。この間胸をはだけて見せたTさんは、今度はショートパンツをまくりあげて尻を掻いてる。半ケツ状態だと言うのに本人はぜんぜん気にしてない。と思ったら、誰かからの手紙を読み出して、するとぼろぼろ泣き出した。どうやら、息子さんが少年院に入ってしまって、彼がそこから出した手紙らしい。「お母さんも辛いかもしれませんが、また会える日までお互い頑張りましょう」という内容だと言う。みんな全力で慰める。こっちまでもらい泣きしそうだ。「またオカルト聞かせてよ、あれ聞くとなごむから」そう私に言う。「オカリナ」をずっと「オカルト」と勘違いして覚えているが、この場ではつっこめない。「うんうん、今日も散歩行ってオカルト吹くね」複雑な思いでそう答える。

今朝の散歩は人数が多かった。最近私のオカリナが評判になってきて、「聴きたい」と言って一緒に来る人が増えたのだ。今日は7人でグランドに行った。数日前に入ってきた、若い女の子も誘ってあげた。煙草を吸わないので、なかなかみんなが集まっている中に入っていけないみたいだったけど、今日の散歩でみんなと話をして、ちょっとうちとけてくれたみたいだ。

今日は皮膚科も診てくれる婦人科の先生にアトピーとじんましんについて相談するつもりだったので、「今日は婦人科の先生と面談なんです」と言うと、案の定つっこみが入る。「妊娠?」「生理不順?」いや~、最近も私は腹がへっこんで来たが、一時期は本当に「妊娠3ヶ月?」と冗談で言われるような腹をしていた。友達の奥さんがちょうど妊娠3ヶ月のときに、その奥さんを連れてきたとき、横に並んでみたら、マジで同じくらいの腹だった。

会社に送る郵便物があったので外来玄関のポストまで出しに行く。そこまで行くのに5分近く歩いていかないといけない。まったくよく歩かされる病院だ。その後に洗濯物を干しに中庭へ。昨日ハンガーを買い足したので、これで足りるかな?と思ったけど、Tシャツを干すのに1個足りない。ちぇっ、まだ足りないかと思ったが、Tシャツの一つが登山用のウィックロン素材だったので、脱水しただけでほとんど乾いていて助かった。そいつは干さずに持って帰ってきた。ベッドの手すりにでもかけとけばすぐ乾くだろう。今日は曇りだ。他の洗濯物はちゃんと乾いてくれるだろうか。

やはりよく眠れた日は体調がいい。体育館レクもうきうき気分だ。今日はまたまたドッジボールとバレーボール。なんかまんねりだなぁ。キックベースをやったときもあるらしいので、今度希望を出してみようかな。卓球台もあるのだが、みんな「卓球は病棟でできるからいいよ」というので、レクでやることはほとんどないらしい。病棟だと狭いので、元卓球部の私としては、同じく元卓球部のS君と広い体育館で思い切り勝負をしてみたいと思っている。卓球は素人が考えているよりもずっと行動範囲が広い。ロビングも天井近くまであげたりする。深くつきささるドライブの落ちてきたところを狙ってループドライブすることも狭い病棟ではできない。台から1~2メートルくらい後ろから打つのだが、そんなスペースはないからである。

体育館レクの後にシャワーを浴びたら、また肩が凝ってきた。Hさんの言うとおり、血行がよくなると肩が凝るようだ。Hさんからもらった「リラックス体操マニュアル」という薄い冊子をまだ見てなかったので、試しにやってみる。最初に説明書きがあって、それによると、この体操は基本的に「ヨガ」のポーズらしい。ただし、ヨガは深遠な思想や多種多様のやり方があるため、まじめにやると大変なので、これはその中の「リラックス体操」の部分を抜き出して、気楽にできるようにしたマニュアルらしい。

全部で10種類の体操が載っている。ヨガなので「~のポーズ」と書いてある。説明を読みながら順番にやってみる。基本的にストレッチと似ている。だが、通常のストレッチと異なるのは、伸ばしてるときに、自分の体が伸びて痛い部分に意識を集中させること、そしてすぐに戻さずに、意識を集中させた部分を含めて自分の体をよく観察しながら、ゆっくり体を起こしていく。この「体の一部に意識を集中させる」「自分の体を観察する」というのは自律訓練法とよく似ている。そう言えば、私がヴォイストレーニングを受けていた先生もよく同じことを言っていた。彼はインド気功をやっていると話していたが、いろんなところで少しずつ共通している部分がある。何事もつきつめれば基本は一緒ということなのか。おっと最後のポーズ「屍のポーズ」は仰向けに寝て瞑想するだけだが、「自律訓練法を行ってもかまいません」と書いてある。やはりどこかつながっているものなんだ。それにしても、正座の姿勢から体を後ろにそらせて頭をつくポーズはきつかったぞ。かえって腰が痛くなった。よく見ると「体が固い人は無理をしないでください」とあるじゃないか。枕を背中に敷くとかすればよかった。

荷物が届いているというので庶務まで取りに行く。山岳会の友達がアカペラに興味があるというので、お薦めのCDを10枚貸していたのだが、久々に聞きたくなったので病院に送ってもらった。久々にお気に入りの曲を聴きながら横になり、至福の時を過ごそう…、と思ったらS君が部屋に来て、「今から卓球のトーナメント大会やるんですけど、出てください」という。いいんだけどさ、なんで「今からやるから来てください」なんだよ。そんなことやるつもりだったんだったら、もっと早く言ってくれよ。

「こんなのあるけど、興味あったら聞いてみる?」そう言ってアカペラのCDをホールでかける。スィングルシンガーズの映画音楽集が好評だった。こうやってちょっとずつアカペラの魅力を広めていってやろう。まだまだ世間一般ではアカペラはマイナーだ。知っていると言ってもゴスペラーズくらいだが、私から見るとあれは「えせ」である。だいたいゴスペルなんか歌ってないのに何で「ゴスペラーズ」なんだよ。そう言えばアカペラのアマチュアバンドで「ウスペラーズ」てのがあったな。

夕方、洗濯物を取り込んだが、案の定生乾きだ。仕方がないから30分だけ乾燥機で回す。いつも家で乾燥機を使ってる身としては、30分100円というのはぼったくられてる気がする。洗濯機も1回100円なので、少しだけ洗濯するのはもったいない。できるだけ溜めてから洗濯するようにしているが、そのため入院したときより下着やタオル類が随分増えてしまった。

主治医が来たので面談する。婦人科の先生も来る予定だったが、じんましんがストレスから来ているということから、やはり主治医にまず相談することにした。

予想通り人混みの中で強烈なストレスを感じたこと、じんましんが出たこと、今までじんましんが出たのはやはり強烈なストレスを感じたときだった、ということを話す。アトピーやじんましんに関しては、最寄り駅の近くの皮膚科を紹介してくれることになった。本当はこの病院の婦人科の先生にお願いする予定だったのだが、この病院にある皮膚科系の薬が限られているので、やはり専門の皮膚科に行った方がよいだろう、と言うことだ。本来ならば、私が通院している病院まで行くのがベストなのだが、ここからは遠くて電車を乗り継いでいかないといけないため、それがかえってストレスになる。それは今の状態ではちょっと無理だ。主治医は言う。「あまり遠出をしないように、少しずつ慣らしていきましょう」この間はちょっと無理をし過ぎたか。本当は次の日曜日に、クライミングで宙づりになったときに脱出するための「自己脱出訓練」があるので行きたかったが、やはり今の状態では無理のようだ。その訓練に参加すること自体が無理ではなく、現地まで電車を乗り継いで行く、ということが今の自分にはできそうにない。

夕食だ。しまった、ふりかけがなくなっていたのに買っておくのを忘れた。普段は私はふりかけをご飯にかけたりしないが、病院食のおかずがあまりにも寂しいので、ふりかけを愛用するようになっていた。そう言えば、会社の人に聞いた話だったっけか、誰かが新婚の時に「ふりかけある?」と聞いたら、奥さんが「あたしのおかずじゃご飯が食べれないの?!」と怒ったらしい。ふ~ん、女の人はそんな風に考えるんだ、とそのとき思った記憶がある。清水義範の小説を思いだした。たしか、ある男が弁当を食べるときに、各おかずの「飯食わせ度」を計算しながら、きちっとおかずとご飯を同時に食べ終わる、というのに悪戦苦闘するという話だった。「うむ、この塩じゃけなら一切れでこのくらいの分量のご飯だな」というのを綿密に計算しながら弁当を食べていく様子をリアルに描写しているのだ。清水義範はパスティーシュ作品がおもしろかったので文庫本はほとんど読んだと思うが、どうも最近は別の路線に走っているようだ。

夜はマッサージ大会やら健康談議になっている。次から次へとおばさま達からマッサージのリクエストが入って、順番待ち状態。おっと若い娘からも注文が。以前「あるある大事典」で見た「ウェストを細くする」太極拳の体操を教えてあげたら、みんな「これはちょっとつらい」と言ってる。つらいからこそ、継続すると効果があるのだ。楽して結果だけ出そうなんて甘いこと言ってる人は何ごとも長続きしないぞ。

その後は部屋でパソコン談義になった。パソコン談義と言っても、パソコン初心者で、市が主催しているパソコンスクールに通っているYさんがいろいろと質問してきて、パソコンに詳しいKさんと私が答える、というものだった。Kさんはコンピュータは専門でないが、趣味としてかなり使っていて、はまりすぎて病気にまでなったくらいだ。Kさんは二回目の入院だが、一回目の入院時は「コンピュータ依存症」の治療が目的だったらしい。「コンピュータ依存症」という言葉も聞いたことなくはないが、入院するくらいひどい、というのはどういう状態なのか聞いてみたら「町を歩いていて矢印があると全部マウスポインタに見える」らしい。幻覚の初期症状に近い物が出ていたらしい。で、今回は鬱で入院している。アルコール依存症を治療した結果、鬱になるというパターンはよく聞くが、結局アルコールに限らず、何かの「依存症」になってしまった場合に、その依存を取り除く過程で精神的葛藤から鬱になるパターンがある、ということだ。

20:00だ、服薬の時間だ。一列に並んで薬の順番を待つ。私の前に並んでいる、今朝散歩に来た若い娘のTシャツの背中に矢印のマークがついていた。私にはマウスポインタには見えない。私はまだまだ大丈夫らしい。


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