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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

昨日は寝つくのに少し時間がかかった。0時前には寝ようとしたが、1時間くらいでは眠れなかった気がする。眠剤を増やしたところなのに、もう睡眠障害がひどくなりつつあるのか。先が思いやられる。ま、あまり気にしないことにしよう。

今日は友人のグループが出るアカペライベントを聴きに行くつもりだった。13時から鶴ヶ峰。余裕だと思っていた。が、今日も動けず行くことは叶わなかった。例によって寝てしまっていたのだが、そろそろ行かなければ、という時間になっても、不思議と「行かなくちゃ」という思いも「行きたい」という思いも湧き上がってこなかった。これはいったいどういうことなのか?自分の中で感じている「行きたい」は、本当は誰かにコントロールされた意図なのか。

半年以上精神科に入院していたので、私はいわゆる「統合失調症」と呼ばれる(以前は「精神分裂病」と呼ばれていた)病気であると診断された患者とたくさん話をした。彼らの症状の多くは「幻聴」であり、さらに「幻覚」「妄想」と広がっていく。幻聴は症状としてはポピュラーで、ありもしない人の声が聞こえる、という。「聞こえる気がする」ではなく、はっきりと「聞こえる」らしい。これは脳の情報処理が完全に混乱しているためで、実際に幻聴が聞こえる患者の脳波か何かを調べると、幻聴が聞こえているときに、脳の聴覚に関係する部分が活性化している、との実験報告もある。自分の頭の中で作り出された「架空の声」が、実際に音声として耳から聞こえるように「脳が認識」してしまうのである。

そして、その聞こえる声は、自分では考えもつかないようなことであるらしい。ちょっと考えると不思議であるが、自分が見る夢のストーリーがいつも不思議な突拍子もないものであることを考えると、何となく理解できる。

しかし幻聴が聞こえている本人は理解できない。みんな「誰かがわけのわからないことを自分の脳に直接話しかけている」状態で、まともな精神状態を保つのが難しくなる。そして、「これは地球よりも高度に文明が発達した宇宙人の仕業だ」とか「誰かが自分に電波を送って遠隔操作しようとしている」などという妄想に発展する。これらは実際に患者の口から聞いた言葉である。みんななんとか自分を納得させるための説明を考え出して、必死に正気を保っている、という感じである。

なぜこんな話になったかというと、私は別に幻聴が聞こえるわけではないが、自分の「意思」は、いや「意思」と思っているものは、実は本当に自分がしたいことではなく、何かしら自分の中で作り上げてしまった「虚像の自分」の意思であるのではないか?そういう考えが頭をよぎったからである。要するに「今日はアカペラライブに行きたい!」と思っていた自分の意思は、実は作り物で、本当は「今日は1日寝ていたい」というのが自分の本音であり、自分の中の「1日寝ていたいなんて怠惰な人間は許さない」という「建前」の部分が「お前は『ライブに行きたい』と思うのだ」と命令しているような、そんな気がしたからである。

話が複雑になってわかりにくいかもしれないが、要は「本音の自分」を「建前の自分」が抑え付けているのだが、体は正直に「本音の自分」にしたがってしまう。そこでギャップを感じて悩んでしまうのではないか。

自分の中から発せられる「本音の自分」。幻聴となって他人の声として聞こえるのも怖いが、何も聞こえずに体だけが支配されるのもまた怖い。催眠療法でも使って自分が心の奥底で何を考えているのか知りたいぞ。


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