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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

昨日は布団をもう一枚もらったおかげでいつもより暖かかった。ただ、吸い込む空気が冷たいのはしかたがない。少し咳が出た。寝付きはよかったが、夜中中ぐっすり、というわけにはいかなかった。夢をたくさん見たような気がする。眠りは浅かったのだろうか。最初に目が覚めたのは1:40。そのとき、すぐにはまた眠りに入れなかった記憶がある。次にうつらうつらした状態から目が覚めて時計を見たら4:00。それからずっと浅い眠りが持続して、その間ずっと夢を見ていたような気がする。また時計を見たら5:30。その後もうつらうつらの状態が続き、また時計を見たら6:00。その瞬間、起床のアナウンスが入った。布団の中で「目覚めのヨーガ」を行い、伸びをして起きだし、洗面所に行く。

メールチェックする。14件来ているが、MLばかりで今日は個人メールはない。

Sさんが「夜中がたがたやってすみません」と言う。「ぜんぜん気がつかなかったですけど」と言うと「眠れなくて、2:30頃追加眠剤をもらいにいくのに少し音を立ててしまった」そうだ。本当に全く気がつかなかった。どうやら自分は割とぐっすり寝ているようだ。

朝食後、しばらくKさんと喫煙所で話をした。カウンセリングの話や、ここのケースワーカーの話をした。この病院には2人ケースワーカーがいて、男性と女性1人ずつだが、その女性の方、F先生の話だった。F先生は私が入院する前に紹介状を持ってこの病院きたとき、ドクターと面接する前にかなり時間を割いて話をした人だ。かなり「びしっ」とものを言う人だが、患者のことをよく考えてくれるいい人だそうだ。

8:10頃からオカリナを吹きに散歩に行く。今日は晴れていい天気だ。空気が冷たいかな、と思ったけど、日が照って割と暖かかった。風もなかったせいだろう。コンサートで吹く予定の曲を流した後、いろいろと適当に30分ほど吹いて戻ってきた。

いつもなら火曜日なので作業棟に行くのだが、ホワイトボードの「本日の予定」欄を見ると、午前中は「レク活動(卓球)」と書いてある。来週の卓球大会に向けて、また病棟内で卓球をするのだろう。練習とメンバー選出を兼ねているのだと思う。一応出られるのは5人だが、当日調子が悪くなる人もいるかもしれないので、8人くらい候補をあげるつもりだとか、誰かから以前に聞いた。N看護士とI看護士の両看護士が2人とも出てくれるはずだと思っていたら、実行委員会でクレームがついたらしい。2人ともこの病院の職員の卓球部だが、その卓球部員が審判をすることになっているそうだ。患者の大会に職員が2人とも出てるんじゃねーよ、どっちか審判しろ、ということだが、ごもっともだ。出るとするとN看護士だろう。I看護士には勝てるけど、N看護士には未だに一度も勝ったことがない。

病棟卓球大会は8人出た。看護士のN看護士と、あと一人足りないので強引にI看護婦に出てもらった。結果はSさんが優勝した。11本1セットマッチで、決勝では私とSさんの勝負だったのだが、1-2で負けてしまった。Sさんは看護士のI看護士から貸してもらったラケットを使うと、サーブがめちゃくちゃ切れて、なかなか返せなかったのと、球を上げてしまったら確実に強烈なスマッシュを決めてくる。以前よりかなり手強くなっている。来週の卓球大会はうちの優勝はもらったも同然かな。去年も優勝しているので、「2連覇を目指そう」とみんな言っている。

それはそうと、まだ内科医に呼ばれない。昨日の肺機能の検査結果を聞くために面談をお願いしておいたのだが、今日は10人以上も内科医の面談希望がいるので、だいぶ待たされてる。それから、心エコーは「今日の午後」としか看護婦は知らされていないそうだ。午後はずっと病棟内にいなければならない。

11:00をずっとまわってから、やっと内科の順番がまわってきた。昨日の肺機能検査の結果は正常だった。年齢などのデータから比べると肺活量は若干少なくてちょいとショックだったが、最大換気量やその他のデータは平均値より上回っていた。けっきょくアレルギーが原因でしょう、と医者は言うのだが、「冷たい空気を吸い込むと喘息が出るんですけど、冷たい空気自体がアレルゲンとなるんですか?」と尋ねると、「普通は夏に出るんですけどねぇ。精神的にアレルギーを気にすると、それがかえって原因になったりするんです」とよくわからない答えだ。「もっといろいろな検査や、呼吸器専門の病院で一晩寝た状態の検査もできますけど」と、ここではもうお手上げのような感じだ。もうこれ以上ここの医者に話してもしかがたない。「最近も自覚症状はないけど隣のベッドの人が『ひゅーひゅー言ってたよ』と言うので喘息は出てるんですけど、ひどくても我慢できる程度なので、気にしないことにします」と言って面談を終わりにする。

以前買っておいた文庫本「精神病棟の二十年」を読み始めた。分裂病で精神病院に20年入院していた人が書いた本で、裏表紙の解説によると「精神医療の内情を静かに告発した超ロングセラー」と書いてある。少しだけ読んだところで、筆者はまだ入院には至ってなく、分裂症の症状が出始めてまわりとトラブルを起こした記述を読んでいるところだ。

13:00頃に看護婦から連絡があり、心エコーに行ってくださいと言われたので検査に行く。上半身裸でベッドに横になった状態で、足や胸に電極をあて、位置を変えながら機械を操作している。「ピ、ピ」と音がするかと思うと「どくんどくん」と心臓の音が聞こえたりする。心音そのものなのか、超音波の波形を音に変換したものかはわからない。途中で医師が交代し、合計45分くらいやっただろうか。結果は異常なし、ということだそうだ。やっている間の心拍数は70くらいだったそうだが、う~ん、エアロバイクのときはなぜ最初から100を超えているんだ~?「動悸がするんですよね」と医者に言われたので「いや、自覚症状はないんですけど、計ると脈が速いんです」と答えると「動悸がするんですよね」とまた繰り返して言う。別に胸がどきどきするとかいうことはなく「自覚症状がない」と言っているのに「動悸がするんですよね」と言うのはどういうことなんだ?「動悸」の定義がよーわからん。自分の感覚としては、むしろ「動悸がしない」に近いのだが。エアロバイクを漕いでいて、心拍数が150を超えてもぜんぜん胸がどきどきしないし。

終わって帰ってきたら14:00だった。ちょうど懇談会とバッティングしてしまったので出られなかった。「議題は何だった?」と聞いてみたが、たいした話はなかったらしい。インフルエンザの予防接種の話とか、それくらいだと言う。退院する患者の挨拶は前日の夕食のときにやる、ということは正式に決まったそうだ。それはそうと、同室のYさんが明日退院するらしい。ぜんぜん聞いてなかった。Uさんも11/28に退院することが決まったそうだ。どんどん抜けていくなぁ。いつの間にか自分が古株になりつつある。

15:00まで「精神病棟の二十年」を読み続ける。作家を志した人が書いただけあって読みやすく、さくさく読んでいく。かなりおもしろい。15:00になったのでシャワーを浴びさせてもらいにナース室へ行き、浴室の鍵を開けてもらうようにお願いしたところ、今日コインランドリーの業者が来たらしく、以前乾燥機に取られた100円を返してもらった。思わぬ臨時収入だ。家計簿ソフトにはなんと記入しようかなあ。

16:00からリラックス体操をやって最後の自律訓練法をやっている間に、外出していたYさんが帰ってきた。同室のみんなが「退院おめでとうございます」と言うので、私も自己催眠状態に入りつつもぼそっと「おめでとうございます」と言う。退院は急に決まったらしい。N看護士といろいろもめたりしたのも退院することになった原因の一つらしい。ここの病院の看護婦の患者への接し方について、またまたみんな文句を垂れる状態になった。確かに、ここの看護婦には患者を「患者扱い」どころか「人間扱い」しない人もいる。何を考えているんだろうか。患者がこんな寒い思いをしているのに、ナース室には暖房が入って自分たちはぬくぬくとしている。

夕食の時にYさんが退院の挨拶をした。立派な大人の挨拶だった。あんなに不快な思いをさせられたにも関わらず、ここでの生活を「快適な生活」と言ってのけた。あれくらい言えるだけの度量が自分にはあるだろうか。自分が退院の挨拶をするのは何ヶ月後だろう。

「精神病棟の二十年」を一気に読んでしまった。最初に出版されたのが20年ほど前なので、今からさかのぼること40年前から20年前の精神病棟の体験記だが、昔は今よりももっとすさまじかったことがわかる。もうほとんど刑務所に近い。東大医学部の助教授によって書かれた文庫版の解説は、今年の8月に書かれたものなので非常に参考になる。解説によると、この本が最初に出版されてからの20年で、社会復帰施設については、デイケア、作業所、グループ・ホームなどが充実してきて格段に進歩しているし、薬についても研究が進んで、より効果的で副作用のないものが開発されていることがわかる。が、その解説で、「依然として変化のないものは、医療関係者も含めた多くの人の無理解」と述べている。また、現在においても精神医療自体が医療全体の中で非常に軽んじられており、保険点数は低いし、医師の定員も他の診療科に比べ三分の一の人員しか必要ないと規定されているそうなのだ。法律からしてそうなのだ。精神障害への社会全体の理解の欠如は、そうした司法、立法、行政に及んでいる。なんとかならないものだろうか。

20:00になったので卓球はおしまい。病室に引き上げてきた。これから就寝準備をしよう。


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