TOPに戻る
鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

よく寝た。ほとんどぐっすり寝ていた。Wさんが枕元の電気をつけたときに一瞬目が覚めたが、時計を見るとすでに4:30だった。その後すぐにまた寝て、洗面所で音がしてからまた目が覚めた。5:30をちょっとまわったところだった。私は「目覚めのヨーガ」に書いてあったポーズをうろ覚えで繰り返しやってみて、覚醒モードに入ろうとした。途中また眠ったりしてしまったが、仰向けの状態、横向きの状態を左右両方、最後にうつ伏せの状態で猫が伸びをするように体を伸ばして起きた。6:00ちょっと前で、そのまま洗面にいった。洗面している途中に起床を知らせる放送が入った。

朝食後、ドリッパーでコーヒーをいれて一服した。今は7:37。今日も作業療法だ。8:45くらいからストレッチを開始するとして、8:40に病棟に戻ってくるように散歩に出かけるか。散歩を30分とすると8:10に出ればいい。それまでゆっくり音楽でも聴いていよう

8:00過ぎにいつもの音楽堂へ行ってオカリナを吹いていると、若い女性が現れて「それ、なんていう楽器ですか?」と聞いてきたので「オカリナっていうんですよ」と答えた。彼女はよくその辺で寝そべってると聞こえてくるのでなんだろうと思っていた、というようなことを言っていた。

オカリナを吹き終わった後、いつもの山道をぐるっと一周して戻っている途中、海がよく見渡せる丘の上にあるビーチチェアにさっきの女性が寝転がっていたので話しかけた。彼女はよく一緒に散歩に来る友人から「フルートの音が聞こえるよ」と聞いてきたらしい。彼女自身は音大でフルートを専攻していたらしく、興味を持ってきてみたら、フルートの音ではないし、リコーダーでもないし、なんだろうと思って覗きに来たらしい。彼女も病院にフルートを持ってきたかったが、高価だし大きいし、ということであきらめたそうだ。オカリナは小さくてよかった。彼女は「スカボロフェアー」の音を私が間違って吹いていることを指摘してくれた。言われてみると、確かに違っている。歌うとちゃんと歌っているのに、吹くときには間違えていたようだ。教えてもらってよかった。少し話をしてから彼女と別れ、病棟に戻った。

作業棟へ行って基礎データを計り、体力テストをしようとすると、作業療法士が「先に彼に使わせてあげていいですか?」と中年の男性をさして言う。彼の体力テストをいつも私が使っている機種でやりたいようなので「いいですよ」と答える。そう言えば昨日、同じ機種でもう一台隣にある壊れている奴は、液晶表示が見えないだけで、その他はちゃんと動いているので、スイッチを入れて、正しく入力をして、終わった後結果をプリントしたら使えるはずだ、というのでチャレンジしてみた。毎回使っているので入力手順はわかっている。ボタンを確実に押したかどうかも電子音で確認できる。その結果、みごと体力テストに成功した。短い時間で終わったので、また途中で打ち切られたのだが、その割には「6段階中の3。普通」が出た。

昼前、売店に行ってペットボトルのお茶と「週刊アスキー」を買った。その帰り、週刊アスキーを小脇に抱えて歩いていると、婦長とすれ違った。婦長は私が本を持っているのを見て「また本を買ったの?また勉強するの?」と聞いた。私が「雑誌ですけど」と答えると、「じゃあいいけど」と言われた。雑誌じゃなくて勉強する本だとよくない、ということなのだろうか。看護婦は私が試験に向けて勉強をしていることに対して快く思ってないのだろうか。「この患者はあせっている。もっとゆっくりしたらいいのに」と思っているのか。治療上好ましくないのか、他の患者に気を遣わせるので実は迷惑だと思っているのか。今度婦長をつかまえて直接聞いてみよう。

昼食後、主治医がナース室に来ているのが見えたので、ちょっとつかまえて脈拍が高い状態が続いていることを話し、薬の影響は考えられないか聞いてみる。「う~ん、なくはないとは思いますが、めったにないと思います。よくわかりません」という答えだった。気にしなくていいのか、気にした方がいいのか自分でもよくわからない。何か別の病気の兆候だと嫌だなあ。頻脈が初期症状として考えられる病気を疑って、検査を受けた方がいいのだろうか。内科の医者に相談してみよう。

内科の医者は週に一度しか来ないはずだった。何曜日に来るのか聞いてみようと看護婦に聞いたら「火曜日」で、もう来て行ってしまったところだという。しまった~。頻脈が続いている状態であることを看護婦にも改めて伝え、その件で相談したい、ということを伝えてもらうようにお願いしたところ、内科の医者には主治医経由で依頼することになるので、主治医に伝えておきます、と言ってくれた。

午後、ホールでビーズを編んでいるIさんに話しかけてみた。今週末退院するBさんのためにビーズの指輪を3つ作っているという。いろいろと話がはずんだ。いつも暗い表情をしているけど、話すと笑顔が出てきてこっちも気持ちよくなる。その後は喫煙所で別のIさんと話をする。自分の家族のこととか話した。結局親は理解しない。自分たちの責任を認めたくないんだ。そういうことを言っていた。

15:00のシャワーの後、薬剤師が来て今度は副作用の説明をしてくれた。頻脈について聞いてみたら、0.5%くらいの確率で報告はされているそうだが、そういう確率なので副作用を疑うより医者に相談してみた方がいいと言われた。

今度はBさんがビーズを編んでいる。「目が疲れない?神経使いそうだけど」と尋ねると、「でもこれやってると、集中して他のことを考えなくてすむんですよ」そう言った。そうだ、「不安から逃れる方法」の一つには、他のことに集中して不安なことを考えなくてすむようにする、というのがあった。ビーズなんかいいのかもしれないな。女性はけっこうビーズでいろいろなものを編んでいる人が多い。

16:00の服薬まで少し時間があったので、昨日婦長から聞いた「一年に2回咲く桜」を見てきた。本当にサクラだった。もとい、桜だった。こんな季節に桜が見れるなんて、ちょっとびっくりした。なんだか得した気分だ。これで春もちゃんと咲くのだろうか。他にどこかに咲いているのだろうか。

夕食後に婦長をつかまえて、昼間に「また勉強するの?」言われたという件について聞いてみた。私が勉強している件について、医療スタッフとして「好ましくない」ということになっているわけではなく、婦長が個人的に「勉強ばかりしてこんをつめてないかしら」と心配していただけだと言われた。ちゃんと20分おきに、目を閉じて遠くの緑を見て伸びをして深呼吸をして神経を休めている、と話すと安心してくれた。

次の日曜日に試験を受けるので、今は勉強時間は多いけど、ずっと勉強ばかりしているわけではない、ということも話したら、その試験自体に興味を持って、どんな試験か逆に聞いてきた。どうやら婦長自身がコンピュータを使った統計処理やらに興味を持っていて、少しそういう話をした。ここの病院もシステム化して効率があがった、という話を聞いて、私が「そのシステム化のときは、業務内容についていろいろヒアリングに来たんじゃないですか」と尋ねると、「そりゃもう、毎日夜中までやってましたよ」と言う。情報システムを構築するにあたって現場から業務内容をヒアリングするのは基本だが、やはり業務担当者としてもかなり負荷がかかるものなんだなぁと実感した。

連絡会まではCDを聴いて休み、連絡会の後は隣のベッドのSさんとしばらく話をした。Sさんは3泊の外泊から帰って来たのだが、今日用事があって会社に行ったら、行く前にものすごく体ががちがちに緊張して、油の切れたネジのようになってしまったという。「2ヶ月じゃ早すぎるのかなあ」と言うが、焦らない方がいいと私も思った。しばらく鬱についての話や、私がカウンセリングを受けた話などをした。

その後喫煙所に出ていって一服していると、NHKの「クローズアップ現代」で「交通事故で過失致死を起こした加害者の刑罰が軽すぎる」というテーマを扱っていた。今の法律では飲酒運転だろうがスピード違反だろうが、死亡事故を起こしても普通に交通ルールを守って運転していて事故を起こした場合と同じ「過失」としか扱われず、その刑罰は最高で懲役5年だという。しかも、起訴される割合も低く、さらに執行猶予がつく場合も多くて実刑になるのは全体の5%だという。ようやく法律が改正されて、飲酒運転やスピード違反の場合は「過失」ではなく「故意」に近いものとして刑罰が重くなり、最高で懲役15年になるという。早ければ今年中に施行されるらしいが、15年でも軽いと思う。人一人の命を奪って15年だと?

被害者の遺族が泣きながら遺族のことを語っている映像が印象的だった。「人が死ぬ」と、最低5人はその人に関わる人が「心の傷」を受けると何かの本で読んだ。自殺にしろ、故意による他殺にしろ、過失にしろ、「人の命を奪う」ということは、その人だけでなく、その周りの人にも深い心の傷を与える、ということが社会全体で認知されてほしいものだ。

見ているうちに20:00になったので、便通の回数だけ記入して病室に戻り、日記を書く。この後はぼちぼち着替えて就寝準備をしようかな。今日はぜんぜん勉強しなかったけど、まあいいや。


コメントする

メールアドレスは公開されません

*は必須項目です