TOPに戻る
鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

月別アーカイブ: 2001年10月

あまりよく眠れなかったような気がする。寝付きは悪かった。1時間以上かかった。夜中も何回も目が覚めた。起きるのもつらかった。試験前日というプレッシャーはあまり感じなかったと思うが、アトピーでかゆかったのは一つの原因だろう。それ以外に、この部屋に戻ってくると、変な言い方だが「調子の悪かったころの自分を取り戻して」調子が悪くなってしまうような気がする。

家を出て、自宅の最寄り駅で電車を待っていると、私と同じ参考書を広げている人がいた。同じ試験を受ける人が近所にいたらしい。試験会場も同じだろうか。私が受ける会場はここから1時間半くらいかかる大学だ。もっと近くだといいのだが、受験者の絶対数が少ないので、そんなにたくさんの会場を設置できないのだろう。

3回乗り換えて、会場の最寄り駅まで行く電車に乗ると、同じ試験を受けるとおぼしき人がたくさんいて、みんな私の持っているのと同じ参考書や問題集を広げている。なんせ今回がはじめての試験なので、あまりたくさんの種類の参考書や問題集が出回っていない。みんな同じ教材で勉強しているようだ。

午前試験が終わり、さっさと途中退出して出てきた。外に出て、来る途中で買っておいたコンビニ弁当を食べる。試験内容は「情報システム利用者向け」の試験にしては技術的なものもあった。全体的なできとしては悪くない。勉強の成果は出ている。それほど疲れは感じなかった。

午後Iの試験が終わった。むちゃくちゃ疲れた。やはり記述式問題で90分集中力を持続させるのは非常に疲れる。参考書の解説によれば、午後Iの足切りボーダーも60%とあるが、それを超えただろうか?次の午後IIまで神経を休めよう。それにしても、問題のレベルはけっこう高いと思う。「情報システム利用者」の立場の人が受ける試験としては、かなりハイレベルなのではないだろうか。

午後II試験が終わって帰る途中である。帰りの電車で今これを書いている。午後IIも疲れた。疲労の度合いは午後Iよりかはましかもしれないが、解答はいまいち自信がない。一応ベストは尽くしたと思う。後は結果がどうであれ、悔いはない。なんとか最後まで集中力がもってくれてよかった。これからゆっくり神経を休めよう。今日は眠れるだろうか。昨日は睡眠はいまいちだった。寝るためには肉体的に疲労させた方がいいかもしれない。夜にジョギングでもしようか。

乗換駅に着いた。この近郊では一番大きなこのターミナルステーションは私の庭だ。安い牛丼のセットを食べ、ドラッグストアでシャンプーとリンスを買う。病院用の買い置きだ。買えるときに買っておこう。明日は15:00からカウンセリングなので、それまでに病院に戻らなければならない。会社にも寄る予定なので、ゆっくり買い物をしている時間はないかもしれない。さっきよりも疲れはとれて、人混みの中を歩いても別にストレスを感じない。

帰ってから自分が管理している、山岳会の会員専用サイトのアップをする。10月の運営委員会の議事録が出たのでアップしたのと、住所変更が1件あったので名簿も更新し、アップする。

やりながらテレビをつける。久々に「特命リサーチ200X」を見る。宮崎駿のアニメがなぜ人気があるのか、人間の認知の仕組みを科学的に解明して、より臨場感を視聴者に与えるテクニックが使われているためだという。この番組は「ばくぜんと感じていること」を科学的に解説してくれるので私はとても好きだ。入院して以来は一度も見てなかったが、それまではよく見ていたものだ。

なんだかんだやっているうちに21:00もとっくに過ぎた。シャワーも浴びたし眠剤も飲んだし家計簿もつけたし、そろそろ寝ようかな。今日は帰ってからも疲れが表に出なくてよかった。だんだん調子がよくなってきている証拠だろう。

今日も起床の放送で目が覚めたが、布団の中で「目覚めのヨーガ」もどきをやって起きることができた。いろいろなやり方で伸びをするのは気持ちがいい。起きるまで一回も目が覚めなかったわけではなく、何回かうつらうつらだけど「まだ朝じゃないのか。夜は長いな」と思った記憶がある。だが、熟睡はしているようだ。

ベッドで横になった後、いつもより少し遅い時間に散歩に行った。音楽堂へ行く途中の山道で、一人の同年代の女性とすれ違って、すれ違ったあと、後ろから「ひょっとして、これから笛を吹きに行くんですか?」と声をかけられた。立ち止まってしばらく彼女と話をした。どうやら、この間話をした女性と同じ病棟の患者で、彼女から「オカリナ吹いている人がいるよ」と聞いて、はじめてこの山の散歩道に来てみたらしい。今日は私がいつもより遅い時間に来たのですれ違いになったようだ。彼女も先日の女性と同じくフルートをやっているらしく「フルート持ってきたかったんですけど『そんな高価なものは看護婦も預かれません』と言われてあきらめたんです」と言った。彼女もオカリナをやってみたいと思っていたらしく、メーカーとかどこで売ってるとか、種類はどうだとかいろいろ聞いていった。さらに歌もやっていたらしく、賛美歌が好きでクリスチャンになったそうだ。今日は賛美歌を歌って帰ってきてところらしい。「今度一緒に歌いましょう。ハモりますから」そう約束して彼女と別れた。他の病棟との患者、しかも音楽仲間と知り合えてとても嬉しい。

散歩から戻ってきて、外出する。バス亭から電車の途中の駅までずっとE氏と一緒で、はじめてじっくり話をした。E氏はタバコを吸わないので、あまり話をしなかったが、一人で自分の席に座って何かしていると、いろんな人、特に高齢の女性から相談を持ちかけられことが多いという。相談されても、自分は医者でもないしカウンセラーでもないし、下手なことは言えないけど、話しかけられて無視するわけにもいかず、「もう死にたいんです」とか言う人に「まあ、そんなこと言わずに」みたいな形で励ましたら、後で泣いているのを見てこっちも困る、などと言っていた。できれば他の人とは関わりたくないのだが、向こうから話しかけられるので困っているらしい。確かに、なんとなく頼りになりそうな男性で、喫煙所で群れている連中とは違っていつも一人でいるので、何か「マンツーマン」で話をしたいと思っている人にとっては格好の標的かもしれない。

E氏もS君の見方は我々と同じだった。彼はずばり、「彼は仮病じゃないのか?」と言ってのけた。とにかく甘えている。やはり彼もそう見ていた。我々もあまり言わなかったけど、彼が閉鎖病棟に移ってから実はみんなそう思っていたことがわかった、という話をすると、さもありなん、という感じだった。

乗換駅の近くの本屋で目当ての「企業を守るセキュリティポリシーとリスク評価」をゲットし、ついでに目についた「還付金取得のための平成13年版医療費明細一覧表」も買ってきた。税務署へ提出する書類を整理するために便利そうなものだ。

家に帰ってきて、しばらくは気になるところの埃を掃除したりして雑事をし、マンションの向かいの中華屋で昼食を摂った後、買ってきた本を読み出す。どうもベッドで勉強する癖がついてしまったのか、座ってだと落ち着かず、ベッドで寝転がって読み出した。

と、いつの間にか寝てしまった。う~ん、こりゃいかん。15:00くらいまで寝てしまっただろうか。いかんいかん。今度は座って読み出す。17:00くらいに中断してコンビニへ行き、弁当と明日の朝食を買ってきて、帰ってから弁当を食べて、この日記を書いている。この後はこの本を読み続けよう。

それにしてもかゆい。どうも前の外泊やその前の外泊でアトピーや蕁麻疹が出たのは、この部屋が埃だらけのせいのようだ。見えるところはちょこちょこと掃除機をかけているが、なんせ散らかっていて細かいところや見えないところが多い。見えないところからの埃が舞っているのだろう。環境のいいところでずっと生活していたため、敏感になっているようだ。今日もお尻や腕、太股などでアトピーがひどくなった。空気清浄機を買った方がいいかもしれない。

もうすぐ21:00だ。リズムを崩さないように眠剤を飲んで寝るとしよう。

今日も朝起きれなかった。

6:00の起床を知らせる放送が入ったときは熟睡期だったのだろうか、無理矢理目を覚まさせられて、ものすごくつらかった。ぜんぜん起きあがれなかった。そのまま寝てしまった。ラジオ体操の音は覚えてない。寝ていたのだろう。「朝のお薬でーす」の声は覚えている。その間「起きないと」「でも寝ていたい」の思いがぶつかり合い、ずっと寝ていた。気合いを入れれば起きれそうだったが、気合いを入れる気力がなかった。結局、7:00の朝食の時間になって、なんとか起きることができ、出ていった。廊下でSさんに「ふらふらだね」と言われた。まだ半分寝ていた。

朝食後も少し横になったあと、8:00頃にオカリナを吹きに音楽堂へ。今日は技術的に少し難しい部分をちょっと念入りに練習した。昨日ほど寒くはないが、空気は冷たかった。喉に少し痛みを感じたので、戻ってきてからうがいをした。いつもうがい薬でうがいをすればいいというものではないらしいので、水だけでうがいした。昨日看護婦に「予防のためにうがい薬は出してもらえませんか」と尋ねると、「うがい薬も『薬』なので、あまり使いすぎると耐性ができてしまうので、普段は水でうがいするだけで十分」と言われたのだ。

ホールへ行ってタバコを吸っていると、いつもコーラを飲んでいるUさんが珍しく「午後の紅茶」を飲んでいる。「珍しいもの飲んでいますね」と言うと「またコーラ盗られたから」と言う。おいおいまたかよ。「やな病棟だね~」とUさんは言うが、本当にやだなあ。いったい誰だろう。何とか自衛策はないものだろうか。

作業棟へ行っていつもの通り体力テストと一般トレーニングを30分2セット。また最高値が出た。いつもよりさらに低くさばを読んで年齢を設定したからターゲット心拍数が高く設定されたためであろう。しかし、負荷があがって足は疲れるものの、息がきれるということは全く感じない。私の年齢でこの心拍数では相当苦しいはずなのだが。それにしても体脂肪率は減らない、というかこのところ少し上昇傾向だ。なぜだ?まあ誤差の範囲かもしれないが。

漕いでいる途中、隣のWさんから閉鎖病棟のS君の話を聞いた。同じ時間に閉鎖病棟から作業療法に来ているおばさんから聞いたらしいが、S君はみんなに甘えているという。ここ開放病棟は自由にさせている分看護婦は厳しいが、閉鎖病棟は重症患者が多いので逆に看護婦は優しいという。かえって甘え癖がついて帰ってくるのではないだろうか。

病棟に戻って明日からの外泊届けを出す。いよいよ明後日は情報処理技術者試験だ。2泊の外泊ははじめてだが、大丈夫かな?

昼食時、3週間の実習を終えた看護実習生が「お世話になりました」と挨拶をしていた。立派な看護婦になってほしいものだ。できれば学生たちに「社会人になるにあたっての心得」なんかを話したかったが、その時間はなかった。自分のペースで行動している自分にとって、あまり実習生たちと接する機会はなかった。

入浴を挟んで16:00まで日経コンピュータを読む。広告で明後日の試験に役立ちそうな本を見つけ、しまったもっと早く知っていれば買ったのに、と思う。今からでも遅くない。明日は夕方病院を出て家に直行する予定だったが、それを変更して朝から出るように変更させてもらった。途中でこの本を買っていって、明日は帰ってからその本を読もう。

16:00からはいつも通りリラックス体操。そして自律訓練法。最近便通が安定してきたが、自律神経のバランスがよくなってきたのだろうか。

夕食後、朝刊を読む。最近新聞もまともに読んでなくて、日本人でノーベル賞受賞者が出たこともはじめて知った。東京の渋谷に精神障害者の就労を応援するセンターができたらしい。こんな繁華街にできるのははじめてで、しかも市区町村単独で作るのもはじめてらしい。このようなセンターが各所にできて、精神障害者がよりスムーズに社会復帰できるようになればいいな、と思う。それにはやはり社会の偏見を取り除いていかないといけないだろう。

テレビでメジャーリーグの試合を放送している。マリナーズ対ヤンキースで、マリナーズが2-3で負けている。マリナーズの攻撃で、2アウト2塁の場面でイチローに打席がまわってきたが、なんと敬遠された。ブーイングの嵐だが、イチローはそれだけメジャーでも一目置かれているということだろう。

今日は結局セキュリティの勉強はしなかったなぁ。まあいいや。日経コンピュータは2冊半読んでしまった。興味のある記事だけ拾い読みするつもりが、結局どれもこれも興味があって、ほとんど全部読んでしまってる。さくさく捨てていこうと思っているのに、また昨日新しいのが来た。日経オープンシステムや日経バイトも含めて山積みになっているや。

さて、今日はこの辺にして、そろそろ就寝準備に入ろう。

昨日主治医に「ぐっすり眠れて夜中目が覚めなくなりました」と言ったところなのに、昨晩は目が覚めてしまった。時計を見ると4:30だった。まあそれまで結構眠っているのでいいけど。それよりも寝付きが昨日も悪かったのが気になる。昨日もCD1枚分終わっても寝付けなかった。そんなことしばらくなかったのに、前より寝付きが悪くなってるじゃないか。なんでなんだろう。昨日と一昨日の違いと言えば、一昨日は作業療法でエアロバイクを漕いだので肉体的な疲労があった、という点だ。昨日買った雑誌にも、快眠のコツは「肉体的に適度に疲労させること」と書いてあった。運動不足はいかんなあ。とは言え、雨も降っていたし、毎日何か運動できるとも限らない。今までは運動しない日でも寝付きがよかったのに。まあ、考え出すときりがないのでやめておこう。

ホールへ行ってペットボトルのお茶を飲もうとしたら、いくら探してもない。やられた。前々から「冷蔵庫の中の飲料が誰かに飲まれる」という事件が多発しているのだ。みんなもちろん名前を書いて入れていて、飲むときには自分のものか確認して飲むことになっている。他の病棟では「盗癖」のある患者もいて、冷蔵庫だけでなく他のものもなくなったりするらしいが、ここの病棟では冷蔵庫だけなので、多分確信犯でなければ「ここはどこ?私は誰?」状態のような人が勝手に飲んでしまうのだろうが、それにしてもなんとかならないのだろうか。この間もUさんが連絡会で「なんとか対策はないんでしょうか」と言っていた。冷蔵庫に見張り番をつけるわけにはいかないし、自衛策はないだろうか。

朝食後、なんだかまだぼ~っとしている。鼻水も出る。眠剤が残っているのか、また体調を崩しかけているのかは判断できない。雨も降っていることだし、散歩もどうせ行けないので布団に潜り込んでCDをかけて寝る。

9:00頃に起きて売店に行ったら、外はすごく寒かった。鼻水はまだ出ている。今日は体育館レクだ。参加しようかどうしよっかな。

結局体育館レクに参加した。最近若手が次々と退院して、平均年齢があがっているものの、なかなか白熱して楽しい。「レクリエーションですから、あまりムキにならないように」と看護士は言うが、ドッヂボールはついむきになってしまう。レクの帰り、閉鎖病棟の廊下の窓からS君が顔を見せていた。窓まで近寄って話そうとするが、ものすごく厚いガラスらしく、声が聞こえない。閉鎖病棟はかなり厳重のようだ。「戻って来いよ!」聞こえないだろうが声をかけて病棟に戻る。

昼食後、昨日と同じように勉強はあまり気が進まず、日経コンピュータの記事を読む。テキストマイニングやらJ2EEに対応した新アプリ・サーバーやら巨大データシステムやら、おもしろい記事がたくさん載っている。セキュリティがらみで参考になるものもあるが、仕事のためというよりほとんど趣味の本を読む感覚で読んでいる。

14:00頃、飲料を買いに売店に行ったら、外はすごく寒い。かなり雨が降っている。ペットボトルのお茶を朝買ったばかりだが、体育館レクで汗をかいて結構飲んでしまったのと、昨日買っておいた分が盗られたので残り少なくなっていた。風邪をひかないように気をつけなければ。

午後はずっと日経コンピュータを読んですごす。2冊読んで捨てた。リラックス体操もなんだか気乗りがしなくてパスした。なんだか全体的に低空飛行だ。気温がいきなり下がったり、雨が降ったりと、環境的要因も大きいのかもしれない。「雨の日は雨の中を」ではないが、それなりに無理をしないで過ごすことにする。日経コンピュータも斜め読みだ。

なんと日経コンピュータの「読者の声」欄に、「IT技術者のストレス病」という特集があった。うつ病や神経症、不眠症、燃え尽き症候群などの「心の病」にかかったことのあるIT技術者は33%もいるという。読者からの報告では、いろいろな「事例」があげられていて、「IT技術者は使い捨て」とか「うつ病でリストラ対象に」など、まぢ?という感じである。うちの会社はかなり恵まれている方だ。思わずスクラップして、「医療情報」の封筒に入れる。

20:10をまわった。そろそろ就寝準備をしよう。全然勉強してないけど、なんだかどうでもよくなってきた。まあ気が向けば明日やろう。急に寒くなったので体調管理に気をつけなければ。

昨日は寝付きが悪かった。寝るときに軽い尿意をもよおしていて、ベッドに入ってからトイレに行こうかどうか迷って、まあいいやと思っていたが、結局21:40頃トイレに行った。今まではそれくらいの時間までには寝付いていたのに、寝付けなかったのでトイレにいったのだ。最近は寝るときにオカリナのCDを聞いているのだが、聞き慣れない曲が聞こえてきた。多分その曲に入るまでにいつも寝付いているのだろうが、昨日はCD1枚終わっても寝付けなかった。寝付いたのは22:00をまわってからだろう。巡回の懐中電灯の灯りを感じたのを覚えている。

その後はけっこうよく眠れたと思う。夜中目が覚めた記憶はない。5:30頃目が覚めた。昨日の連絡会でEさんが「夜中に歩く人のスリッパの音がうるさいし、起床前の洗面所でもうるさい人がいます」と言ってみんなに注意を促していたにも関わらず、洗面所ででかい声で話しているおばさん連中がいる。このおばさん達はいつもうるさい。と思ったらYさんが出ていって「うるさいよ」と注意した。私は目が覚めてしまったので、「朝のヨーガ」をだらだらとやる。ちゃんとポーズを覚えてないので適当だ。伸びをすると気持ちがいい。6:00ちょっと前に起きて洗面を済まして着替えた。

朝の服薬で並んでいたら、後ろからIさんが「おはよう」と声をかけてきてくれた。「暖かそうな格好してますね」と言う。確かに私はサマーセーターの上からパーカーを着込んでいるのに対し、彼女はTシャツ一枚だ。「寒くない?」そう言うと「寒くないよ」と答える。「俺、こんなに寒がりだったかなあ」と言うと「歳とったんじゃない?」と彼女は冗談めかして言う。

朝食後、8:20頃までCDを聞いた後、さっさとシーツ交換を済ませてオカリナを吹きに行く。台風の影響で今日は雨模様だ。今は雨が降ってないけど、夜のうちに降ったらしい。ズボンが汚れるのが嫌なので、今日は山道を歩かずにグランドで吹いた。

9:00頃から勉強をしようとしたが、文字を追っても内容が頭に入ってこない。どうも調子がよくない、というか、やはり眠剤が残っているのだろうか。主治医が来たら面談をお願いしたい、と看護婦にお願いしておいた。おとなしくCDを聴きながら寝ることにする。

10:00頃、いつの間にかバケツと雑巾が出ていたので、さっさと周りの拭き掃除をして、また音楽を聴いてすごす。

11:00の服薬後、売店へ買い物に行って、飲料と「なめたけ」をかった。永谷園のお茶漬け海苔がないかなと思ったのだが、ない代わりに「なめたけ」が目に入ったのでつい買ってしまった。売店を出ようとしたところで雑誌売場の「NHKきょうの健康」が目に入って、その表紙の「快適睡眠法」という文句に目を奪われて、つい買ってしまった。

売店を出たところでばったりA君にあった。今日は歯科の通院で来ていたらしい。S君が閉鎖病棟に移ったことをもう知っていて、状況について根ほり葉ほり聞いていった。前に落ち込んだときになぐさめてくれたKさんに、今回は無視されたのが落ち込みが激しくなった原因ではないか、と彼は言っていた。その意見は一昨日の喫煙所でも出ていた。Kさんはちょうど彼の母親くらいの歳で、彼は典型的なマザコンだから、彼女に無視されたことが相当こたえたのだろうか。

昼食前に9月分の入院費の請求書が来た。よかった、8月より2万円以上安い。銀行の残高も気になるが、まだ余裕はある。だが、できるだけ節約を心がけよう。

喫煙所で「一年に二回咲く桜」の名前を教えてもらった。「彼岸桜」というらしい。

午後一番で入浴後、買ってきた「きょうの健康」を読む。カフェインの入ったコーヒーやお茶は寝る5時間以内に飲まない方がいいとか、寝る前1時間以内にタバコは吸わない方がいいとか、そんなこと言われたって、と思うことが書いてある。他にスキンケアの記事も載っていたので読む。こういう情報はとっておきたいが、この前買った健康雑誌もそのまま置いてあり、どんどん本がたまっていくので、これらも必要な記事だけ切り抜いてスクラップし、本体は捨ててしまった。

昼過ぎにホールに行くと、看護実習生と患者たちが卓球をやっている。見ながら少し教えてあげたが、直接相手をしてほしいというので、マイラケットを持ってきて実習生のTさんの相手をする。サーブのやり方も知らない初心者だったが、運動神経はいいようで球への反応がよく、少しコツを教えたらすぐにいい球を返すようになった。ブロックを崩さないように積み上げていくゲームをやっていた他の実習生たちに「見て見て、うまくなったよ」と彼女が言って、少し打ち合ってみせると「ほんとだ~、うまくなってる」と感心していた。ひょっとして私は「人に教える」というのが上手なのだろうか。あまり今までは意識したことがなかったのだが。

15:00で実習生はミーティングに入るので卓球は終わり、私はさぼっていた勉強を始める。新しい参考書に載っている残りの演習問題を全部やってみた。う~む、やはり的確な解答が導き出せない。解答と解説を読むと、それは理解していたのだが、そこが問題の意図だとは気がつかなかった、というパターンが多い。なんとか「出題者の意図」を汲み取るようにしなければ。

16:00の服薬後、主治医から呼ばれて面談する。最近は夜中目が覚めることもなくぐっすり眠れていて、逆に朝になってもぼ~っとして、眠剤が残っているのではないか、という件、外出して雑踏をうろうろしてもあまり疲れを感じなくなり、帰ってきてからも疲れが出ることがなくなった件、人混みでストレスを感じていたのは対人恐怖ではないという念押し、カウンセリングを毎週行うことを決めた件を話した。そして、自分としては傷病欠勤の期間が切れる来年の7月くらいまでに会社へ復帰、というくらいのスパンで治していこうという長期戦を覚悟していることも話し、最初に会社へ出した診断書の期限がもう切れるので、また書いてほしいという旨を伝えた。とりあえず3ヶ月でまた出しておきます、と主治医は言った。

「ところで、心理検査は受けたことありますか?」と主治医が尋ねた。「500問くらいあるマークシートのやつですか?」と聞いたら「そういうのもありますが、ロールシャッハテストとか、そういうやつです」と言う。おお、ロールシャッハテストね、いろんな本で読んだけど実際にやったことはない。そう言うと、「まあ何かの参考になるかもしれませんので、一度やってみますか?」と言うので「おもしろそうだからやってみたいです」と答える。いつになるかわからないが、どういう結果が出るのか楽しみだ。

夕食前Fさんに、私はどこが悪いのか見ててさっぱりわからない。ぜんぜん普通に見える。そう言われた。まあ、この病棟内にいる限りは比較的安定してけっこう元気だし、Fさんは最近入院したので私が落ちたところも見たことないしな。一見どこも悪くないように見えるんだろうけど、でもこの病棟にはそういう人はたくさんいる。

夜、私と同じく山登りが趣味だというK氏と喫煙所ではじめてじっくり話をした。彼はうちの会社もお世話になっている大手メーカーの経理らしく、来年定年だという。6ヶ月入院しているけどまだよくならず、なんとか年内には退院したいらしい。私と同じ主治医で、カウンセラーも私と同じ人だそうだ。いろいろお互い苦労話をした。メーカーでもやはりうつ病は多いそうで、しかも、というかやはり長引く人が多いそうだ。

その後病室に戻って勉強しようとしたが、問題集を広げてもなんだかやる気がしないので、やめてCDを聴いて寝ていた。私は昔から、日頃はこつこつ勉強するのにいざ試験が近づくと急に勉強に身が入らなくなる。なぜなんだろう。高校時代は、定期テストではいつも80番くらいだが実力テストでは10番以内、ということが多かった。

書いているうちに20:00をまわった。ちょっと一服してから、着替えて就寝準備をしよう。