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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

筒井康隆「ビアンカ・オーバースタディ」読了。短いからすぐに読めてしまった。裏表紙には

「文学界の巨匠・筒井康隆が本気で挑む、これぞライトノベル。21世紀の”時をかける少女”の冒険が始まる!」

と書いてあり、ライトノベルのことはよく知らないけどとりあえず読んでみた。

少し読むと、ふむふむ、学園モノで美少女が出てきてエロくて、漫画とかアニメとかゲームとかの世界のような「都合のいい」話が続く。そういうのがラノベなのかな、と思っていたら、なんだか途中からわけがわからなくなってきた。話はどんどんおかしな方向へ転がっていき、いやまあとてもおもしろいのだが、う~んエロいのはいいがグロい、というかこんな残酷なのは「ライト」ではないし、SFはいいとして生命倫理的にはNGな、いや小説としてはありなんだろうが「ライト」ではないだろうし、そしてどんどん話はおかしくなってしまって、結局最後は筒井康隆ワールドになってしまった。なんじゃこりゃ~?確かに時はかけるけど、時をかける少女どころではない。

そして読み終わってから「あとがき」を読む。こんなことが書いてある。

この本にはふたつの読みかたがある。通常のラノベとして読むエンタメの読みかた、そしてメタラノベとして読む文学的読みかたである。

そうか~、つまり確信犯的に「筒井康隆が『ラノベ』を書くとこんなことになるぞ」という意図で書いた、清水義範の書くパスティーシュ的な小説だったんだろう。そしてこんなことも書いてある。

ラノベの読者は多いから、できればこの本を読んだ何分の一かの読者を、わが本来の作品に誘導したいだけなのである。

う~んそれで最後は筒井康隆ワールド全開だったわけね。やっぱ筒井康隆はおもしろい。


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