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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

日別アーカイブ:2018年12月29日

今日も9時半起床。最近判で押したように毎日9時半だ。前はその後二度寝してしまうようなことが多かったが、最近は午前中も調子がいい。

朝からず~っと読書。昼過ぎには「聖痕」を読了。借りてきた本のうち3冊を読んでしまった。ペースが早い。そんなに急いで読まなくてもいいのになあ。図書館は正月過ぎまで休みだから、読んでしまっても次はしばらく借りれないのに。

15時過ぎ、妻が今日も実家に行くというのでついて行った。いつも忙しい義姉が今日は家にいるという。普段あまり顔を合わせることもないし、年末年始もずっとお店が忙しくて休めないらしい。今日なら会えるので一緒に行ったのだ。行ってみると大学4年生の姪もいた。正確には「義理の姪」という言い方をするのかな。義理の母、義理の姉、義理の姪、義理の妻と一緒に小一時間談笑。あ、妻は義理ではない。今日も萩の月とかお菓子をいただいてしまった。

姪が卒論をこの間提出したとかで見せてくれた。日本語日本文学科の彼女の卒論のテーマは「『魔女の宅急便』の、原作と映画の云々」とかいう感じで、4万字以上の長いものだった。自分の卒論はもう電子媒体が失われてしまい、手元にはない。今では化石となった5.25インチのフロッピーディスクに保存していたら、そのフロッピーが腐ってしまったのだ。あれはあれで苦心の作だったのでもったいない。去年実家に帰って自分の荷物を整理していた時に、縮刷版のコピーを発見したので記念に持って帰ってきた。自分が研究した証の貴重な資料である。久しぶりに見てみたら、テーマが「分散オペレーティングシステムDM-1における状態移送及び凍結に基づく障害対策機能」とあり、開くといきなりアブストラクトが英語で2ページ。本文は日本語だが、読んでもさっぱりわからん。これ本当に自分が書いたのか?

卒論のAbstract

姪は12月に卒論を提出したら、後は口頭試問かなんかがあるだけで卒業式まで学校に行かなくてもいいらしい。休みがたっぷりあって羨ましい限りだ(自分も今はずっと休みだが)。私は2月半ばが卒論提出で、その後も3月の学会に向けて忙しかった。ちょうど卒業式の日が学会発表の日だったので卒業式にも出られなかった。東京理科大であった学会から大阪に帰ってきて、今度はすぐに横浜の会社の寮に旅立つという過密スケジュールだったな。ぜんぜん暇がなかったなあ。卒業旅行とか行ってる友達が羨ましかった。

今日の動画。THE YELLOW MONKEY「天道虫」。イエモンは来年の4月に19年ぶりのアルバムを出すらしい。

筒井康隆の「聖痕」読了。幼少期に男性器を逸失してしまったため、男性ホルモンが作られなくなって恋愛感情や性欲が失われ、その結果聖人君子のようになった、見目麗しき美貌を持つ男性の物語なのだが、途中からその男根レスの話はどこかへ行ってしまって、美食の話と男女の性交の話ばかりになり、経営しているレストランが会員制の秘め事場みたいになっていく。恋愛感情というものを一切持たない主人公は、男女関係の仲を取り持ちつつそれを淡々と見ている。なんだこりゃ?この物語はいったいどこへ向かっているのか?とか思いつつ続きが気になって読み進めてしまう。最後の最後での展開に驚いた。忘れた頃にここでこう来たか、てな感じだ。

読み終えてから最後を見てびっくり。この小説は2012年に朝日新聞に連載されていたらしい。これ、新聞小説だったの?けっこうな(と言うほどでもなかったかな)性描写もあったと思うのだが。まあ、日経新聞に連載されていた失楽園もけっこうやばい描写があったというから、ありなんだろうな。でも日経と朝日では読者層が違うだろう。朝日新聞なら下手したら小学生も読んでるぞ。

新聞小説というと、「朝のガスパール」も確か朝日新聞だったと思うが、あれも昔読んだ時に「なんて斬新な」と思った記憶がある。なんせ読者とインタラクティブで、誌面を読んだ読者がパソコン通信のBBSに書き込んだ反応によって話の内容を作っていくという不思議な小説だった。毎日少しずつ掲載される新聞小説だからこそできる技である。筒井康隆、遊んどるなという感じだった。筒井康隆は時々「残像に口紅を」のような実験的な小説を書く。

この「聖痕」は読み進めるにつれてだんだん難しい言葉が増えていき、見開きのページの左端に載っている「言葉の意味、解説」が増えてくる。まるで読者に挑戦状を叩きつけいるというか、けんかを売ってきているかのようだ。これもネットの反応を見て書いていったのだろうか?こんな感じである。

朋子は陸梁した。周囲が浮きだっていてもそげだち、渋げで食細だった彼女は、突然登希夫に向けて息だわしく罵りはじめたのである。孫外れであり、兄と比べりゃ利根と鈍根、黄口も切れぬにふたほがみ悪魔の使いか暗向か、ついには連枝の眤を忘れて兄の妻に恋慕れれつの下焦れなどと過去のことを言い立て始めたので・・・

難しい言葉が増えてくるといっても、筒井康隆が適当に作った言葉とか混じってたりして、なんて読み進めていった。枕詞がやたら出てくるのだが、

「みづたまる」池田(人名)の枕詞
「みつみつし」久米(人名)の枕詞

と解説があって、人名に枕詞?と思って調べたら、本当だった。自分の無学を憂う。