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鬱るんです
躁鬱病のITエンジニア「はまー」が心と体の模様を記した雑記帳。 大手IT企業で心身ともにぼろぼろになり退職した後、ほそぼそと働いたり事業を立ち上げようとして頓挫したり、作業所に通ったり障害者雇用で働いたりと紆余曲折したが、今は無職な毎日。

日別アーカイブ:2001年8月25日

昨日の睡眠はちょっといまいちだった。寝付きはいつも通りよかったし、0:00頃目が覚めて眠れなくなって、0:30頃に追加眠剤をもらうところまではよかった。そこまでは昨日と同じだが、その後2:30に目が覚め、その後何回も中途覚醒を繰り返し、4:00過ぎにはもう眠れなくなって、起きてきた。熟睡感が少し足りない。

夜明け前の喫煙所でKさんと話をする。Kさんは自分自身が優秀なカウンセラーにカウンセリングを受けた経験があり、よく他人のことを観察していて、カウンセラーばりにいろいろなことを言ってくれる。彼女によると、私は「凝り性」「完璧主義」「こだわりが強い」「なにごとにも全力投球」ということで、それは自分でも自覚している。

彼女に言わせると、「凝り性」という面に関しては、私は「いい意味での凝り性」らしい。趣味に関しても、自分の興味の持った分野に関しては徹底的に追及する。それはいいんじゃないか、ということである。

だが「完璧主義」というのは、この病気になる人に共通していることだけど、気をつけないといけない。なんでも100%でないと気が済まなくて、100%を達成できないと、とたんに挫折感を感じてしまう。それがうつ病のきっかけになる。たとえ100%じゃなくても、0%ってわけでもないんだ、50%でも60%でもいいじゃないか、そう思えるようにならなきゃならないんだ。「もっといい加減になりなさい」彼女はカウンセラーにそう言われたそうだが、「いい加減」とはちゃらんぽらんというわけでなく、「『いい』加減」を知る、ということだそうだ。納得。「なにごとにも全力投球」というのも、それが悪く出るときは「『いい』加減」で適当に抑えなければいけない。私は遊びはいっぱいあるが、「あそび」はない。自動車のハンドルやブレーキの「あそび」に相当する部分がないのである。

その後、彼女に「あなたには『否定する心』がある」と言われたとき、それはどういうことかわからなかった。私が人と話しているとき、言葉の端々に「否定する心」が見え隠れするらしい。「否定する心」ってなんだろう?いろいろ説明してくれたけど、いまいち理解できなかった。「そんなに難しく考えなくていいよ」と言うが、気になる。何を「否定」する心なのか。「こだわり」が強いために、自分のこだわりと相反するものに対して無意識のうちに「否定」をしているのだろうか。今はわからないが、そういう自分への「気づき」が大事だと彼女は言う。ま、あせらないようにしよう。

昨日Hさんに「ストレッチは朝一番にはやらない方がいい。まだ筋肉が固すぎてよくない。ある程度、体が起きてきて自然にほぐれてからの方がいい」と言われたので、朝のストレッチはやめることにした。作業療法の日は9:30からエアロバイクを漕ぐので、その前にすることにしよう。その他の日は午前中に適当な時間にやろう。

朝食後、すこし頭がぼ~っとするのでヒーリングのCDをかけて横になる。やはり眠りが浅かったせいだろう。あまり調子がよくない。昨日まで上り調子だったからといって、ずっと良くなり続けるということはなく、やはり波があるようだ。今日は無理をしないようにしよう。

気がつくと、外に出てもいい時間を過ぎていたので、のろのろとオカリナを持って昨日のグランドへ行った。今日ははじめからベンチの端っこに座った。何を吹こうかな、と思ったすえ「眠れぬ夜」をとりあえず吹いてみた。今の自分にぴったりだ。何曲か吹いたところで、すぐに疲れてしまったので病棟に戻った。

今朝メールチェックをしたら、友人から「昨日の日記の、果物チームと野菜チームの東北版には不覚にも笑ってしまった」とある。一人でもうけてくれて幸いである。ところで、彼のメールを無断引用するが、

僕はこの間まで、「メールをもらうとすぐに返事をしないといけない」と思いがちでした。それでストレスが溜まることもありました。しかし、この間見たストレス解消系HP(というのかな)に、そういう考えはテクノストレスの原因の一つでもあると書いてあったので、そういう考えはやめるようにしています。

と書いてある。その傾向は私にもあって、メールをもらったらすぐに返事を書かなきゃ、と思っていた。それは、相手が返事を期待しているだろうというのもあるが、一日に来るメールの数が多いので、すぐにレスを返さないと後で忘れてしまいそうだったからである。だが、最近私はちょっとした技を開発した。技と言うほどのものでもないが、メールを見て、これは返事する必要があるな、と思うメールには、とりあえず「返信」(または「全員に返信」)ボタンを押し、メールの編集画面を開いて、そのままドラフト保存するのである。こうすれば、返信する必要のあるメールの書きかけがドラフトのメールボックスに入るので、すぐに返事を書かなくても、あとで暇なときにドラフトをチェックして、返信してないメールがあればそのときに返事を書けばいい。返事をし忘れることもない。

おなかの調子があまりよくない。少し腹が痛くなってきた。私は便秘と下痢を繰り返すので、いつものことなのだが、今日はちょっと痛い。看護婦に言うと、「今日は土曜日なので当直の医師しかいなく、10:30か11:00頃に回診にくるので、そのときに相談してください」とのことだ。それまで痛みが続くようだったら薬をもらおう。

ところで、毎晩その日の便通の回数を各自が表に記入するのだが、昨日の夜「18」と書いてある人がいてびっくりした。と思ったら「泊」という字だった。「この人は外泊してます」という印で、看護婦が記入したものだった。一日に18回もトイレに行くようであれば、トイレに住んだ方が手っ取り早い。と言うのは冗談だが、私の趣味の山登りの世界では、山でのトイレ問題が最近活発に行われている。山に残していいのは足跡と思い出だけ。排泄物もできるだけ持ち帰らないといけない。と言うわけでうちの山岳会でも携帯トイレを試しに購入してみた。が、誰か試した人はいるのだろうか?山ではいろいろなトラブルに遭遇したときの対処法を知っておかなくてならないので、私もいろいろ本を読んで勉強したが、「山で下痢になったら」というのはまだ見たことない。

今日の午前中はみんな休んでいるのか、ホールは閑散としている。私もあまり調子がよくないのでしばらく横になって休むが、11:00前にホールに行ってみると、だんだん人が集まってきた。EさんとMさんが卓球を始めた。その後Eさんが用事があるというので、私が代わってMさんと打ち合ったが、調子が悪いためかいつもよりかどうも反応が鈍く、動きもスローモーだ。Oさんが「私にも卓球教えて」と言ってきた。彼女が卓球をやっているのを見たことがないので、興味がないのだと思っていたが、そうでもないらしい。「経験は?」と聞くと、「温泉でちょっと」と言う。とりあえずちょっと打ち合ってみたが、確かに初心者らしく「ピンポン」のレベルである。これなら基本から教えやすい。少し基本を教えて打ち合うが、どうもこちらの反応が鈍く、いつものように相手が打ちやすい所になかなかボールを返すことができない。その後、数日前に入院したOさん(Oさんがいっぱい出てくるが全部別人である)が、「私もお相手願います」と言ってきたので相手するが、なんかその時点で私はへろへろだった。調子悪いときに無理しちゃいかんが、「教えて」と言われて「今、調子が悪いから」と言って断れないのも私の悪いところだ。一応Oさんに「経験は?」と聞くと、「以前、ここで」と言う。そう、彼女も出戻り組の一人だ。へろへろだったのでちゃんと教えてあげられなかった。

昨日、私の隣のベッドに入ったHさんが「商売でトラブって裁判中」と書いたが、それは私の勘違いで、彼の友人の話らしい。彼の友人もまたうつ病で、そういうきっかけだったという話だったのを私が誤解したのだ。彼自身はトラックの運転手をやっていて、あれも相当体にきつく、時間もめちゃくちゃな仕事だったので、自律神経がおかしくなってしまったらしい。トラックの運ちゃんをやる前は4年間自衛隊にいたそうだが、その訓練内容を聞いたら、ものすごく激しいものだった。「真夏の暑い中、長袖長ズボンにいろんな装備をつけて、70km歩かされた」と聞いたときは、「俺だったら死ぬな」と思ってしまった。

休んでいると、カラオケの音が聞こえてきた。今日は土曜日なので、昼からカラオケ大会なのだった。今日も別の病棟から若者向けのディスクを借りてきてるらしい。ちょっと調子悪いけど、カラオケくらいならできるかな?と思っていってみた。先週、尾崎豊の「I Love You」を歌ったあと、Kさんに「うまかったけど、ちょっと力んでたんじゃない?力抜けばもっとうまいと思うけど」と言われたので、リベンジでまたしても「I Love You」に挑戦。「力む」というのは私が何事に対してもやってしまう悪い癖だ。今回は力を抜いて、と思ったら逆に力が全く入らない。なんか体全体のコントロールを失っているみたいで、リズムもまともに取れないし、高音がぜんぜん出ない。普通、高音は張ることができなくても抜くことはできるのに、まともに抜くこともできない。なんか悔しくて、次に勢いのいい曲を、と思ってThe Blue Heartsの「Train Train」を歌ったところ、またしてもぜんぜんリズムに乗れず、しかもアンザッツをあてることもできず、声帯をもろにこする地声歌いになってしまい、喉がへろへろになってしまった。カラオケも今は無理だ、とあきらめて病室に戻って休んだ。

夕方、ベッドに横になりながら、やはり隣のベッドに横になっているHさんとお互いの話をした。ケースは違うが、2人とも家庭環境に何らかの問題を抱えている。この病棟の患者と話していると、家庭環境に問題がある人、トラウマを抱えている人、性格的に鬱などの病気になりやすい人ががほとんどである。特に家庭環境に問題を抱えている人は非常に多い。

Hさんは生活保護を受けているそうだ。生活保護を受けると、通院費も入院費も一切ただになるらしい。32条を申請すれば通院費が5%負担になるのは知っていたが、生活保護の場合は通院費も入院費もただになるとは知らなかった。それでS君が「生活保護を受けたい」とずっと言ってる理由がわかった。S君は、父親が全く病気のことを理解していない、そもそも病気と思ってなくて、うつ病をただの「怠け者」と思っており、「なんで入院なんかしてるんだ。病気のふりなんかしてないで働け」と言うらしい。入院費は父親がお金が出しているが、父親は病気と思ってない子供の入院費なんか払いたくない。S君も父親に負担をかけたくない。かと言って父親が病気を理解してくれてないので家にも帰りたくない。でも今の病状では働ける状態ではない。それで生活保護を受けたいと言ってるのだ。

「夕食の準備ができましたので皆さんホールにお集まりください」放送が入った。いつもなら腹が減ってるので飛んでいくのだが、なんだか妙に腰が重い。体を動かすのがひどくめんどうだ。なんとかホールまでのろのろと歩いていく。今日はずっと軽い鬱だ。心と体がちゃんとつながってない。卓球もカラオケもおかしかったのは、そのせいだ。昨日まで上り調子にあった波が、今度は下り坂に入ったのか。明日も鬱が続くのだろうか。夕食後、ヒーリングのCDをかけて、またベッドに横になる。

いつの間にか眠ってしまっていたらしい。夢を見ていたようだ。悪夢ではないが、後味の悪い夢だった。ホールに行ってみると喫煙所でまたいつものメンツが集まっているので、加わるが、なんかまた下ネタで盛り上がっている。なんでも、ある薬の副作用で胸が大きくなるらしく、男性でも乳房が出てきたり、女性でも妊娠していないのに母乳が出てくるとか、最初は薬の副作用の話だったのに、そういう話からエスカレートしていった。しゃべっていると、「いつもとしゃべり方が違うね」と言われた。まだなんか全体的にスローモーだ。心と体がちょっと疲れてた一日だった。

Kさんから森田療法の体験記を聞いた。「あるがままの自分を受け入れる」いろんな本に出てくるが、いまだに私は理解できていない。「遊びたくないときは寝ていろ、遊びたいときは遊べ」それはわかる。だが、「だから月曜日から金曜日はしんどくても会社に行け」それができないから病気ではないのか?「調子がいいからといって、夜遅くまで仕事をしてはいけない」これはわかる。「調子が悪いからといって、早退してはいけない。定時まで必ず仕事をしないといけない」そうなのか?それは「あるがままを受け入れる」に反するのではないのか?森田療法は有名だが、体験記を聞いても、やはりいまいち理解できない。

20:00になった。眠剤を服用する。今日は調子はよくなかったけどいいこともありました、と「いいこと探し」をしながら眠ることにしよう。